完全リモートでのマンガ制作は打ち合わせから完成原稿の共有までをどのように行っているのか?
2020年春の新生活は大学の講義や仕事などで「リモート」を活用し始めているという人も多いはず。GIGAZINEでは連載マンガの制作から公開まで「100%リモートワーク」をこれまでも行ってきましたので、打ち合わせから原稿チェック、アシスタントへの作業依頼、完成原稿の共有まで、どのようなソフトやネットサービスを使ってどのように進めているのか、余すところなくお届けします。
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◆マンガの打ち合わせ
原作と作画が別れているマンガ作品については、まず原作担当とエピソードの内容について打ち合わせをします。このとき用いているのは、タスク管理サービス「Trello」です。細かいやりとりを複数回繰り返す場合、メールや通話などを行うよりもサクッと行えて現在の作業状況がわかりやすく、また後から「どのように進んだのか」を確認しやすいのが利点。
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Trelloではまず「ボード」を作成します。画像は2020年から連載の「勇者で社畜の兼業ライフ(社畜勇者)」についてのタスクボード。左から、「キャラクター設定やデザインのタスク一覧」、「原稿の執筆やチェックについてのタスク一覧」、「今作業中のタスク」、「完了した原稿タスク」、「完了したキャラクタータスク」とリストが並んでいて、左から右に「やるべきこと」「作業中」「完了」と作業が視覚的に流れていくのが特徴です。
それぞれのタスクは「カード」となっており、コメントをやりとりしたり、画像を添付して確認したりと積み重ねていきます。
また、「社畜勇者」の原作はテキストのみの脚本形式のため、Googleドキュメントの共有機能を使用して原稿の打ち合わせをしています。「他のユーザーと共有」の設定で「コメント可」を選んでいると……
原稿を直接書きかえることはできなくなり、「提案」という形で修正を加えていくことができます。また、特定のGoogleアカウントのみを指定して共有することで、仮に原稿の共有リンクが流出してしまっても盗み見られる心配がなくて安心。
「あめあめふれふれうそやんで(あめあめ)」のボードも、「次にやること」「作業中」「原稿についての完了」「キャラクターについての完了」と左から右にタスクを流していけるところは共通しています。
一方で、「あめあめ」は原作がネーム形式のため、やりとりするファイルサイズが大きくなっています。そのため、ファイル共有ソフトを用いて、フォルダの位置をコメントすることで打ち合わせをしています。
また、作画担当とのやりとりは原作ほど細かいやりとりが多くないため、メールで行うことが多くなっています。ファイル共有ソフトを用いて原稿を更新・チェックし、「ここをこうして」と文章で伝える場合はメール本文に記述やテキストファイルを添付、参考画像なども含めて打ち合わせ作業をしています。
◆原稿の共有
原稿の共有は、SynologyのNASの機能を使った「SynologyDrive」で行っています。リアルタイムでデータを共有していくため「ダウンロード」という手間が必要なく、間違えてファイルを操作したときに時間を巻き戻して復元できることが利点です。
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共有のフォルダをPCのローカルな場所に設定すると、「SynologyDrive」というフォルダが出現。そこに共有したいファイルを置くと……
同じフォルダが他の人のフォルダにもダウンロードされます。共有フォルダ内で作業することでアップロード・ダウンロードという手間がいらず自動的に更新されていくので、共有がとても楽。
また、「チェックのために原稿を受け取るがこちらから送る必要がない」という場合には、同期設定を「SynologyDriveからのみデータをダウンロード」とすると、「受け取った側で元の原稿を間違えて上書きしちゃった」というようなことが避けられます。
PCがネットにつながった時点でファイルが自動的にダウンロードされるのは楽ですが、外出中にスマホのテザリングでネットにつなげたときにファイルがダウンロードされると、データ通信が膨大になるので注意が必要。
◆アシスタントへの依頼
カラー原稿の下塗り作業や、背景の作画など、「ヘルプ」という形でアシスタントの方に協力してもらうことがあります。GIGAZINEではこのアシスタント作業も完全リモートになっています。
Trelloのボードに「ヘルプ依頼ボード」があります。
作業にヘルプがほしい時は「カード」を作成し、説明欄に「どこをどのようにやってほしい」と依頼内容を記し、「いつまでに完了させる」という期限を設定。
その後、「ボード」全体に話しかけることでボードに参加しているアシスタント全員に通知がいくので、誰かが「やります」と答えてくれたら依頼完了。「今すぐこれを済ませて」というような即時性はありませんが、完全リモートで空き時間を使って対応してもらうことができます。
これらはあくまで基本的な例で、「こうした方がやりやすい」というような要望を受け付けて常に改善を目指していますので、もし「このような完全リモートで参加してみたい!」という方は、以下の記事から募集要項をチェックしてください。また、スキマ時間を使ってヘルプに参加しフルカラーの作画を手伝ってくれるヘルプの方も募集中ですので、こちらからチェックをお願いします。
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