グレープフルーツだけじゃない健康的だけど「薬との飲み合わせ」に注意が必要な食品5選
ほとんどの薬には、アルコールと一緒に服用しないように呼びかける注意書きがありますが、薬との相性に気をつけなければならないのはアルコールだけではありません。健康的で人気のある食べ物や飲み物のうち、処方薬との相性に気をつけなければならないものを、専門家が5つ解説しました。
Five healthy diet staples that may interact with prescription drugs
https://theconversation.com/five-healthy-diet-staples-that-may-interact-with-prescription-drugs-246357
◆1:グレープフルーツジュース
イギリス薬剤師会に登録された薬剤師で、イギリス・キングストン大学で薬学を教えている講師でもあるディパ・カムダール氏によると、薬が体内で分解されるには肝臓に存在する酵素であるシトクロムP450が必要だとのこと。
しかし、グレープフルーツや夏ミカンをはじめとする一部のかんきつ類にはフラノクマリンと呼ばれる化合物が含まれており、摂取するとシトクロムP450の働きを阻害します。その結果、代謝されるはずの薬が体内に蓄積されてしまうおそれがあります。
注意が必要な薬のひとつに、臓器移植の拒絶反応を防いだり、関節リウマチや乾癬(かんせん)などの皮膚疾患の症状をコントロールしたりするために一般的に使用されるシクロスポリンがあります。シクロスポリンが体内に蓄積されると、軽い吐き気や嘔吐(おうと)から腎臓や肝臓の障害に至るまで、さまざまな副作用のリスクがあります。
グレープフルーツとの相互作用が心配な薬は多く、高コレステロール値の治療や、心臓発作や脳卒中の予防によく使われるスタチン、高血圧治療薬のアムロジピン、勃起不全薬のシルデナフィルなども注意が必要です。
カムダール氏は、「これらの処方薬を服用している場合、たとえ少量でもグレープフルーツジュースを飲む前に医師または薬剤師に相談してください。飲むのを完全に避けたほうがいい場合もあります」と述べました。
◆2:ザクロジュースとクランベリージュース
ザクロジュースには、抗凝固剤であるワルファリンを分解する肝臓酵素を阻害する作用があります。ワルファリンは、不整脈の患者の血管に血栓ができるのを予防するために使われます。
ザクロジュースを飲むと、ワルファリンを服用している患者の血液が凝固するのにかかる時間である国際標準化比(INR)を増加させる可能性があることが、複数の報告によって示唆されているとのこと。これは、ザクロジュースとワルファリンを一緒に摂取すると出血リスクが高くなることを意味しています。
他にも、ザクロジュースには臓器移植に使用される拒絶反応抑制薬であるタクロリムスに影響を与える可能性が指摘されているほか、ザクロジュースには前述のフラノクマリンも入っています。
同様にクランベリージュースもワルファリンに影響を与えるとされており、2週間前にクランベリージュースを飲んだ患者がワルファリンを服用した結果、出血で死亡したという報告もあります。とはいえ、クランベリーとワルファリンに関する研究の結果はまちまちで、影響があるとする研究もあれば、何の影響も示さないという研究もあるとのこと。
カムダール氏は「これらのジュースを飲む場合は、INRをよりこまめにチェックするか、INRの変動がフルーツジュースによるものである可能性を念頭に置いておくといいでしょう」と述べました。
◆3:緑の葉野菜
ほうれん草、ブロッコリー、ケールなどの緑の葉物野菜は、低カロリーかつ栄養豊富な健康食品で、血液凝固因子を活性化させるのに必要なビタミンKも豊富です。
しかし、ビタミンKが豊富だとワルファリンを服用している人にとっては問題になる可能性があります。というのも、ワルファリンは血栓の形成を防ぐためにビタミンKを阻害する働きをするからです。血栓ができないようにワルファリンを服用しても、ビタミンKが豊富な食品を摂取してしまうとINRが低下し、血栓が発生するリスクが高まります。
緑の葉物野菜は健康的な食生活にぴったりですが、ワルファリンを処方されている人がビタミンKを豊富に含む食材を食べる場合は必ずINRに注意したり、医師に相談したりして欲しいと、カムダール氏は呼びかけました。
◆4:牛乳
牛乳はタンパク質とカルシウムが豊富な飲み物ですが、カルシウムは腸内で一部の抗生物質と結合するため、一緒に摂取すると十分に吸収されず、効果も発揮できません。
注意が必要な抗生物質には、テトラサイクリンやシプロフロキサシンが含まれます。
また、抗生物質以外にも甲状腺機能低下症の治療に用いられるレボチロキシンが、乳製品の影響を受けます。
乳製品と薬の相互作用は腸内で起きるため、これらの薬を服用中でもタイミングさえ気を付ければ乳製品を摂取することができます。カムダール氏によると、ほとんどの場合、薬の服用の前後2時間の間隔を開ければ、乳製品を摂取してもいいとのことです。
◆5:豆類
豆は食物繊維やビタミン、ミネラル、そしてタンパク質が豊富に含まれた植物性食品ですが、大豆・そら豆・サヤエンドウにはチラミンという物質が多く含まれている可能性があります。
チラミンは、豆類の他に熟成チーズや生の肉、発酵食品などにも含まれている自然由来の物質で、抗うつ薬のフェネルジンと相互作用する可能性があります。
フェネルジンは、近年はあまり頻繁に使われない薬で、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)に分類されます。
フェネルジンは体内でチラミンを分解する酵素を阻害するため、フェネルジンを服用している人がチラミンの含有量が多い食品を食べると、チラミン濃度が高くなりすぎて血圧が上昇するおそれがあるとのこと。
このようなMAOI系抗うつ剤には、フェネルジンの他に、イソカルボキサジドやトラニルシプロミンなどがあります。
カムダール氏は締めくくりに、「ヘルシーな食材は、さまざまな方法で全身の健康を改善してくれますが、食生活が大幅に変わるとき、特に処方薬を服用している場合は、必ず医師や薬剤師に相談しましょう」と述べました。
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in 食, Posted by log1l_ks
You can read the machine translated English article Grapefruit isn't the only healthy fo….