脂肪を隠すのではなく強調していくスタイルの新たなファッション現る

自分の体の気に入らないところを「隠す」ファッションは一般的ですが、「隠す」という行為の奥には、自分の体に「欠点」があるという意識があります。SNSの影響でネガティブなボディイメージを持つことが多いという現状を踏まえ、これまで隠していた体の部位をあえて見せて強調していくスタイルのファッションが登場しています。
Karoline Vitto
https://www.karolinevitto.com/
Karoline Vitto's garments accentuate the fat rolls women are told to hide
https://www.dezeen.com/2019/08/05/karoline-vitto-the-body-as-material-fashion-collection/
ブラジル生まれ・ブラジル育ちのファッションデザイナーであるKaroline Vitto氏はイギリスで暮らすようになって初めて自分の体といい関係を持てるようになったと語っています。ブラジルにいる間に自分がずっと持っていたボディイメージを見直すため、まずVitto氏はブラジルで購入したくびれ作成用コルセットを着用した写真を撮影し始めました。コルセットは本来、体を細く見せるためのものですが、胴体の一部だけを無理に押さえつけるとそのぶん別の場所に肉がはみ出ることになります。このため、体の曲線をなめらかにするためには専用のブラや下着が必要になるとのこと。
この点に着目し、Vitto氏はそれまで隠すべきだと思っていた「抑えつけてはみ出た肉」を逆に見せていくことにしました。
これがVitto氏のお気に入りの作品の1つ。伸縮性のある素材を巻き付けた黒いドレスは、肌が一部露出しており、金属と伸縮素材とで肉を抑えつけることで、逆に肉感を強調しています。
着用中のドレスを別の角度から見てみるとこんな感じ。

また長方形の金属を使うことで肉を強調したり……

背中のお肉を強調したドレスもお気に入りとのこと。

太ももを強調するガーターベルトも。

胸をつぶすドレス。

背中のお肉を強調するためにあえてさまざまな素材が巻き付けられていきます。

これがトルソーでドレスを仕立てている様子。トルソーに綿を巻き付けて肉感を再現した上に、伸縮性のある複数の素材や金属を駆使してドレスを作成しています。
Vitto氏はイギリス・ロンドンの美術大学、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの学生で、卒業制作としてプロジェクトをスタートしたそうです。この写真も制作中の1枚。
左右非対称のドレス背面。はみ出るわたによって、どの部分の肉が強調されるのかがよくわかります。
使用されている金属はこれ。この真ちゅうも手作業で作成されています。
「美しくあることへの圧力は、全てではないものの、多くの女性を苦しめるものです。これが解決策であるとか、全ての人のストーリーであるとは言いません。体を受け入れることは、非常に個人的な事柄です。しかし、私はこのコレクションで、これまで私たちが『欠点』だと見なしていた体のパーツを見直す、容易な方法を提案しています」とVitto氏。
近年は多くのブランドがボディイメージをよりポジティブにするための取り組みを行っています。2019年にはNIKEが「大きいサイズのマネキン」をロンドンの旗艦店に導入して議論を呼びました。
「多くのブランドがステレオタイプについて懸念するようになっています。これはつまり、ランウェイの上での多様性だけでなく、選べるサイズの服が増えたり、広告で表示される体型に多様性が生まれたりするという意味合いを含みます。しかし、肉体をポジティブに捉えることが『流行』となっている点には同意できません。ボディイメージは流行ではなく、私たちデザイナーがデザイン時に考えるべきことなのです」とVitto氏は語りました。
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