デザイン

「理想的な女性の体形」とは何なのか?

by Adam Kontor

痩せすぎモデルの活動が禁止され、プラスサイズモデルが登場するなど、ファッション業界の中で「モデルは細身である」というスタンダードが変わりつつあります。18世紀から現代に至るまで、コルセットやガードルといった補整下着を用いることで女性は「理想的な体形」を作り出してきましたが、その変遷がどのようなものであったのかが、BBCに記されています。

BBC - Culture - What is the ‘ideal’ female body shape?
http://www.bbc.com/culture/story/20180122-what-is-the-ideal-female-body-shape

18世紀のエリートたちにとって「流行の体形」であることは非常に重要なことであり、ステイズ(コルセット)と呼ばれる補整下着の着用は必須であると考えられていました。しかし、ステイズの流行は「女性を細く見せるため」だけが理由ではなかったようです。

by LACMA Collections

たとえば、ステイズを着用して動きがかなり制限された状態でなお上品な歩き方ができるようであれば一人前、という考え方の存在が挙げられます。また、当時の女性の体は本質的に弱く、肉体のサポートが必要であったためステイズが流行したと考える専門家もいます。一方で、ステイズを「社会的な組織が個人を抑制したことのメタファーだ」と唱える意見は、あまり支持されていないようです。

ウエストラインを締める補整下着の最も大きな利点とされたのは、上半身に注目を集めることができることでした。パリ装飾美術館の学芸員であるデニス・ブルーナさんによると、西洋の文化では体の低い位置にあるパーツは価値があると考えられず、何百年もの間スカートやペチコートで隠されてきたとのこと。

フランス革命の後にはステイズが「貴族的」だとして避けられるようになりましたが、その後も別の形で補整下着が使われていきます。

当時のファッションは自分の富を示す方法の1つであり、男性は妻に高価なドレスを着せることで裕福さを誇示しました。1845年から1870年の間にはクリノリンという下着の一種である骨組みが流行しましたが、クリノリンを使うには膨大な量の生地を使ったドレスを、使用人の助けを得て着る必要があったため、収入が多い人しか着ることができませんでした。


1870年を過ぎると、民主化によってファッションも変化していきます。また技術の革新が起こり、デパートが生まれたことで、異なる階級の人々が似たような衣服を着るようになります。多くの人が同じような服を着るようになったこの時、理想のシルエットの標準化が起こりました。長年、医師や活動家らはコルセットが及ぼす悪影響について警告していましたが、コルセットが誰でも使えるようになると、女性たちはコルセットを買いに走りました。当時の広告によると、コルセットのウエストサイズには45.72cmから76.2cmまで幅があり、必ずしも細身であることが求められたわけではないようです。

20世紀に入ると流れるような美しいガウンがリバティ百貨店によって作られ、女性をコルセットから解放しようという流れが生まれます。このようなドレスは芸術界では好まれましたが、一般大衆には風変わりだと見られ、流行を追っている人でさえ家の中で来て外では着なかったそうです。


映画「グレート・ギャッツビー」で着られているようなフラッパードレスが1920年代に入って人気を集めるまで、多くの人はコルセットを好んでいました。また「女性がコルセットの着用をやめて突然自由になった」という考えを抱いている人もいますが、学芸員のエマ・マクレンドンさんによると、これは誤解とのこと。使わない流れるようなドレスはコルセットこそ使わないものの、お尻の形を抑えるようなガードルを使って人工的に体の形を変える必要があったからです。

そして1920年代から30年代にかけて、再び「ウエストを強調したファッション」として、マドレーヌ・ヴィオネによって「バイアスカット」が生み出されました。布地を斜めに裁断して衣服に仕立てることで動きと柔らかさを表現していますが、当時のファッションイメージというよりは、大柄な女性のニーズに応えたものとみられています。


1940年代には映画の衣装デザイナーであったギルバート・エイドリアンが肩を大きく、お尻を細くしたシルエットのドレスを作成し、人気を博します。その後、クリスチャン・ディオールは再びバストを強調しウエストを細くしぼった「New Look」と呼ばれるスタイルを発表するまでエイドリアンのスタイルは続いたとのこと。20mもの生地を必要とするNew Lookのドレスは、戦争が続き貧困が叫ばれる時代の1つのレスポンスだったと言われています。この「ウルトラフェミニン」なドレスは1950年代のシンボルとなりました。


1960年代には再びボーイッシュの時代を迎え、ツイッギーのような性を感じさせないモデルが人気を集めます。しかし1920年代と異なるのは、ルディ・ガーンライヒのドレスのように補整下着を着ける余地のないドレスが作られたことでした。


コルセットやガードルの人気は落ちていきましたが、この時代になって女性は新たな「縛り」に対面します。1970年代から1980年代にかけて体形を維持するために食事制限やエクササイズの必要性が叫ばれていったのです。細身の体が求められるようなデザインのドレスが作られ、1980年代には「細身だけど胸の大きな体」、1990年代には「ケイト・モスのように極端にやせた体」をファッション誌は擁護し始めます。

MAJOR! Congratulations @mrkimjones on your final show for @louisvuitton. Stylist | @themelanieward Hair | @guidopalau Make Up | @peterphilipsmakeup Casting | @shelleydurkancasting #kma #katemoss #louisvuitton #kimjones

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21世紀になっても細身の体がファッション業界を支配していますが、SNSの登場によって徐々に人々のファッションに対する考え方は変化していきていました。TwitterやInstagramを通じて、より多様な体形を扱ったファッションが切り開かれてきているとのことで、CHROMATというブランドは特にさまざまな人種・サイズ・ジェンダーアイデンティティのモデルをショーに起用していることが知られています。



現代のファッションブランドが特定の体形を排除しているということは、2018年になっても大きく議論されているところ。マクレンドンさんはこのような議論はこれからも続ける必要があると考えており、「悪いのは私たちの体ではありません。評価システムに問題があるのです」「私たちが問題を認めなければ、修復は始まりません」と語りました。

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in デザイン, Posted by logq_fa