「アメリカ政府のHuawei排除は違憲か」を争う裁判にHuaweiが敗訴、その理由とは?
by Kārlis Dambrāns
「政府機関がHuaweiを含む中国企業から製品を購入することを禁止する規則は違憲である」とHuaweiが訴えていた裁判において、2020年2月18日付でHuaweiの主張が棄却されました。2018年にセキュリティ企業・カスペルスキーの製品が政府機関での使用を禁じられ、カスペルスキー研究所が訴訟を起こしましたが、Huaweiの判決では、このカスペルスキー裁判と同じ論理が用いられています。
Court rejects Huawei's lawsuit over federal defense spending law - POLITICO
https://www.politico.com/news/2020/02/18/court-rejects-huawei-lawsuit-spending-115838
US judge rejects Huawei lawsuit challenging a ban on its products - CNN
https://edition.cnn.com/2020/02/19/tech/huawei-us-lawsuit-rejected/index.html
Judge rules a 2019 law singling out Huawei is constitutional | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2020/02/judge-rules-a-2019-law-singling-out-huawei-isnt-unconstitutional/
2019年8月7日に、政府機関がHuaweiを含む中国企業5社から通信機器・ビデオ監視機器・その他サービスを直接購入することを禁止する暫定規則が発表されました。この規則は2018年に成立した国防権限法(NDAA)で示された制限に基づいています。NDAAはアメリカの国防予算の大枠を決めるために議会が毎年通す法律であり、その年の予算のポリシーを設定するものとなっています。
2018年8月に署名が行われ成立した2019年のNDAAでは数千億円規模の軍事支出が認められる一方で、政府機関や政府の請負業者が一部中国企業と取引をすることが制限されています。これに対しHuaweiは「使用や取引を禁止されるべきという証拠は一切示されていない」「国家の力を利用して、民間企業を追い詰めているのは異常であり、過去にも例がない」と述べ、2019年5月に「NDAAは違憲である」とテキサス州の連邦地方裁判所に申し立てました。
ファーウェイ、米違憲訴訟で略式判決要請 専門家「棄却の公算」 - ロイター
https://jp.reuters.com/article/huawei-ndaa-idJPKCN1SZ0BX
そして2020年2月18日付で、テキサスの連邦裁判所は、Huaweiの訴えを棄却する判決を言い渡しました。
Huaweiは訴えにおいて、憲法は議会が裁判無しで人または団体を罰する「私権剥奪法」を禁じているところ、Huaweiはアメリカの法律の下では「人」にあたるため、政府の行為は違憲だと主張していました。これに対し、裁判官は「たとえHuaweiが人であるとしても、HuaweiやZTE製品の購入を禁じることは、私権剥奪法による罰だとは言えない」と裁定しました。議会の決定はHuaweiへの罰ではなく、単に「顧客の選択」だと見なされたわけです。
判決を下したAmos Mazzant判事は、2018年にカスペルスキー研究所がアメリカ政府相手に起こした訴訟について言及。この裁判では、アメリカの国土安全保障省がロシアの影響を懸念し政府機関でのカスペルスキー製品の使用中止を命令したことが違憲であるかどうかが争われました。この裁判でワシントンD.C.のColleen Kollar-Kotelly判事は、政府がカスペルスキー製品を買わないことは罰ではないと判断しました。Mazzant判事はKollar-Kotelly判事の言葉を引用する形で、Huaweiについても同じ論理が適用できるとしたとのことです。
なお、Huaweiの広報担当者は「Huaweiは今日の裁定に失望しています。私たちは国防における最重要事項を理解していますが、2019年にアメリカ政府によって取られたアプローチはHuaweiの憲法上の権利を侵害する、防衛の間違ったやり方です」「私たちはさらなる法的オプションを検討していきます」とコメントしました。
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