10代の少年少女がコーヒーを飲んでも問題ないのか?
豊かな香りや独特の風味を持つコーヒーは世界中の人々に親しまれていますが、コーヒーには多量のカフェインが含まれているため、「成長途中の子どもにコーヒーを飲ませるのは問題がある」と考える人もいます。そこで、「10代の少年少女がコーヒーを飲んでも問題ないのか?」という疑問に、ニューヨーク州立大学バッファロー校で栄養学の准教授を務めるJennifer L. Temple氏が回答しています。
Is it OK for teens to drink coffee?
https://theconversation.com/is-it-ok-for-teens-to-drink-coffee-129133
Temple氏は、コーヒーを飲んでいない多くの子どもや10代の少年少女も、日常の中でカフェインを摂取していると指摘。主なカフェイン源となっているのはコーラなどの炭酸飲料だそうですが、一般に炭酸飲料に含まれるカフェインはコーヒーや紅茶に比べて少ないとのこと。また、チョコレートなどの食べ物や薬からも、子どもは日常的にカフェインを摂取しているそうです。
「私自身の研究に基づいて、12歳を超えた子どもが1日1杯のコーヒーを飲んでも害はないと確信しています」とTemple氏は述べていますが、これは他のカフェイン源からカフェインを摂取しなかった場合だと釘を刺しています。
8fl oz(液量オンス/約236ml)のコーヒーに含まれるカフェインの量はおよそ96mgだそうで、これは10代の少年少女が摂取しても問題ないとされる「1日当たり100mg」とほぼ同じです。そのため、コーヒーを他のカフェイン源と組み合わせると1日の摂取量上限を超える可能性が高く、気づかないうちにカフェインが含まれた飲料や食品を口にしないよう気をつける必要があります。
カフェインを摂取しすぎたことでもたらされる副作用について、Temple氏は「気分が悪くなったり、睡眠が妨げられたり、危険な行動をしたり、攻撃的になったりする可能性があります」と述べています。場合によってはカフェイン過剰によって心拍数や血圧が変化し、まるで違法薬物を摂取したような状態に陥るケースもあるとのこと。
また、多くの深刻な副作用と比較すると、睡眠不足になる程度の副作用であれば大したことではないと思うかもしれません。しかし、Temple氏は子どもたちの睡眠不足も大きな問題であると指摘。睡眠不足が子どもの学力低下や健康問題につながる可能性もあると報告されています。
10代の少年少女には圧倒的に睡眠が足りていない - GIGAZINE
その一方で、「カフェインによって骨密度が低くなって骨折しやすくなる」「カフェインで睡眠時間が不足すると背が伸びない」といった言説もあります。これに対してTemple氏は、「81人の青少年を6年間追跡した研究では、カフェインと骨密度の間に関係は認められませんでした。別の研究では、睡眠時間と成長の間に関連がないとわかりました」と述べて否定しています。
「入手可能な科学的情報に基づいて、私は3人の子どもたちが12歳になったら朝に1杯のコーヒーを飲むことを許可しています」「朝に飲んだコーヒーがもたらすカフェインのネガティブな効果は、就寝するずっと前になくなります。しかし、15時以降は子どもたちの睡眠を守るために一切のカフェインを禁止しています」とTemple氏は述べ、条件付きであれば子どもにコーヒーを飲ませても大丈夫だとアドバイスしました。
・関連記事
「コーヒーのことを考える」だけで覚醒度が上昇してより具体的な思考ができるかもしれない - GIGAZINE
諸説ある中で結局「コーヒーは健康にとって良いもの」なのか? - GIGAZINE
「コーヒーをたくさん飲む人は長生きする傾向がある」という研究結果 - GIGAZINE
コーヒーを飲むと運動能力がブーストされることが判明 - GIGAZINE
寝る前にコーヒーを飲むと体内時計がずれて「朝起きられない」が加速する - GIGAZINE
コーヒーをよく飲む人はコーヒーの香りに敏感になる - GIGAZINE
・関連コンテンツ