服に水をこぼすとなぜ色が黒ずんで見えてしまうのか?
by Christopher Campbell
水は無色透明な液体ですが、地面や衣服に水をこぼすと、水が染み込んだ部分の色がなぜか周囲よりも黒ずんで見えます。なぜこんな現象が起きるのか、高校生向けの学習アプリを開発するAryan Kashyap氏が解説しています。
Why are some things darker when wet? | by Aryan Kashyap | Medium
https://medium.com/@aryankashyap_/why-are-some-things-darker-when-wet-1ce71d8aef4e
光が物質に当たった時、吸収されたり透過されたりしない限り、表面で反射されます。そして、「物体を見る」ということは、「物体が反射した光を目で認識する」ということと同義。この時、受け取る光の波長によって見ているものの色が変わり、光の量によって見ているものの明暗が決まります。
光の反射は、おおきく鏡面反射と拡散反射の2つに分類されます。鏡面反射は、入射光(物体に当たる光)が滑らかな表面に当たり、単一の方向に反射されるものです。
それに対して拡散反射は、光が不規則にでこぼこしている表面に当たり、さまざまな方向に反射されるもの。拡散反射は反射光(物体から反射された光)の方向がばらばらなので、一度に目に飛び込んでくる反射光の量が減ります。鏡やガラスに光が当たるとまぶしく感じるのに対して、地面や衣服に光がどれだけ当たってもあまりまぶしく感じないのは、鏡面反射と拡散反射の違いが原因です。
シャツに水をこぼすと、シャツの濡れた部分は薄い水の膜で覆われることとなります。この時、一部の入射光は水の表面で反射されてしまうため、シャツに当たることができません。この時点でシャツからの反射光の量が減ってしまいます。
さらに、水を透過してシャツに当たって反射した光の一部は空気と水の境目で反射してしまうため、水を透過したシャツの反射光の量も減ってしまいます。
結果として、シャツの濡れた部分から観察者が受け取る反射光の量が、シャツの乾いた部分からの量に比べてかなり少なくなってしまうため、シャツの濡れた部分が暗く認識されてしまうというわけです。
by Hans
以上の「濡れたシャツが黒く見える現象」は基本的な物理法則で簡単に説明できる内容ではありますが、Kashyap氏によれば1988年に発表された以下の論文でもっと詳細に原理が解説されており、突き詰めると複雑な計算と難解な理論の理解が求められるようです。
Fermat's Library | Why some things are darker when wet annotated/explained version.
https://fermatslibrary.com/s/why-some-things-are-darker-when-wet
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