チンパンジーは音楽が流れると自然に踊りだすことが判明、メスよりオスの方が踊る
by Papafox
ヒトだけでなくチンパンジーもまた音楽に合わせて自然に踊り出すことが研究により判明しました。ヒト以外の霊長類で音楽に合わせて踊る行動が確認されたのは初めてとのことです。
Rhythmic swaying induced by sound in chimpanzees (Pan troglodytes) | PNAS
https://www.pnas.org/content/early/2019/12/17/1910318116
Chimpanzees spontaneously dance to music
https://phys.org/news/2019-12-chimpanzees-spontaneously-music.html
これは、京都大学霊長類研究所の服部裕子氏と友永雅己氏が米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した論文で明らかにされました。
音楽に合わせて踊るという行動は、ヒトのほか、過去の研究でオウムなどの動物で確認されていました。チンパンジーに関しては、これまで「雨が降った時」や「滝の近くにいる時」にダンスのような動きをすることが調査で示されていましたが、ヒト以外の霊長類で音楽に合わせて踊る行動が確認されたのは初めてとのことです。
研究者は当初、大人のメスのチンパンジーにビートを教えるという実験を行っていました。この実験はうまくいかなかったもものの、研究者はチンパンジーにビートを教えている際に、近くにいた別のチンパンジーが踊り出したことに気づきました。そこで、チンパンジーのグループに対して音楽を流してみたところ、チンパンジーたちはダンスのような動きで音楽に反応することが示されました。全体としては、メスよりもオスの方が踊る傾向がみられたそうです。
チンパンジーはそれぞれ異なる動きをし、体を前後や左右に揺らすものもいれば、壁を叩いたり、足を叩いたり、声を出すものも存在したとのこと。
その後、研究者はアキラと呼ばれるオスを隔離し、24日にわたって低音のピアノ音楽およびランダムな音楽を聴かせました。この結果、アキラはテンポに関係なく、音楽に合わせて同様に踊ることが判明。実際にチンパンジーが踊っている様子は、以下のページにあるムービーから見ることができます。
Supplement to Rhythmic swaying induced by sound in chimpanzees (Pan troglodytes) | PNAS
メスよりもオスの方が踊る傾向が高かったのは、野生のオスが音を鳴らして縄張りを守る行動をすることから、オス同士は音を通じてコミュニケーションを発達させ、聴覚刺激に対して敏感であるためだと考えられているとのこと。なぜ音楽がチンパンジーを踊らせるかははっきりしていませんが、研究者は今後研究を続けることで、ヒトにおけるダンスの進化についても明らかになるとみています。
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