NASAの新型宇宙船「スターライナー」が国際宇宙ステーションに到達失敗、地上への帰還は成功
2019年12月20日にNASAが打ち上げた新型宇宙船「スターライナー」が、打ち上げ自体には成功したものの、ミッションの主目的だった「国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキング」には失敗。地上へ帰還しました。
NASA, Boeing Complete Successful Landing of Starliner Flight Test | NASA
https://www.nasa.gov/press-release/nasa-boeing-complete-successful-landing-of-starliner-flight-test/
Starliner makes a safe landing—now NASA faces some big decisions | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2019/12/starliner-makes-a-safe-landing-now-nasa-faces-some-big-decisions/
Boeing's Starliner Has Touched Down Safely in Desert After Failure to Dock With ISS
https://www.sciencealert.com/boeing-s-starliner-has-landed-in-new-mexico-after-failed-iss-docking-attempt
スターライナー(正式名称:Crew Space Transportation-100)は、世界最大の航空宇宙機器製造会社であるボーイングが開発中の最大7人乗りのカプセル型有人宇宙船です。スターライナーは、NASAの「CCDev」という、民間企業の主導によって宇宙船で乗員をISSに送り込むという計画の過程で生み出されました。
2019年12月20日に行われた無人試験は、「打ち上げ後、ISSにドッキングする」という目標が設定されていました。アトラスVロケットによって打ち上げられたスターライナーは、ロケット先端部から切り離され、無事打ち上げに成功。しかし、その直後、「設定以上の燃料を過剰に消費してしまった」として、ISSにドッキングするという目標が放棄されました。
ボーイングの宇宙・打ち上げ部門のシニア・バイス・プレジデントを勤めるジム・チルトン氏は、燃料を過剰に消費した原因を「機体時刻を間違って設定したため、スターライナーは実際よりも進んだ段階の飛行動作を行いました」と説明しました。
機体時刻の「11時間のズレ」を修正し、予定されていたISSへのドッキングを中止して計画を変更した後は、試験は順調に推移。スターライナーは軌道上をスムーズに飛行し、搭載された生命維持システムは機体を良好な状態に保ち続けたことが確認されました。
2019年12月22日、アメリカ・ニューメキシコ州のホワイトサンズ・ミサイル実験場にスターライナーは帰還。NASAはスターライナーが着陸する瞬間の映像をリアルタイムで配信していました。
Boeing Starliner Orbital Flight Test Landing - YouTube
パラシュートを3つ開いて降下中のスターライナー。
地表に近づくにつれて、その落下速度はしだいに低下。
ドサリ。
底部に装着された6つのエアバッグによって、落下時の衝撃による破損などはなかったとのこと。
今回の試験飛行について、NASAのジム・ブライデンスタイン長官は「ISSに到着してドッキングできなかったものの、スターライナーの飛行自体に問題はなかった。抱えていたテスト目標の多くがうまくいった」と述べ、今回の試験自体を「成功」と評価しました。
今回の試験で使われたスターライナーは、改装の後に有人フライトテストなどを行う予定。有人フライトテストに搭乗するNASAのスニ・ウィリアムズ宇宙飛行士は、探検家のジャック=イヴ・クストーの調査船「カリプソ号」にちなんで、このスターライナーを「カリプソ」と命名しました。
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