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YouTubeで外科手術の技術を学ぶ医師が増えてきている


毎月20億人のユニークユーザーを抱え、1分当たり500時間分のムービーがアップロードされるというYouTubeは、もはや世界最大の動画共有プラットフォームとなっています。そんなYouTubeには、外科手術のやり方を収めたムービーが数多く公開されており、世界中の医師が外科手術の技術や新しい医療装置の扱い方をYouTubeから学んでいると、海外ニュースメディアのCNBCが報じています。

Doctors are watching surgical procedures on YouTube
https://www.cnbc.com/2019/11/24/doctors-are-watching-surgical-procedures-on-youtube.html


カリフォルニア大学ロサンゼルス校で2015年に外科手術の研修を終えたジャスティン・バラッド医師は、これまで体験したことのないトラブルに遭遇したり、十分な訓練を積むことなく新しい装置を使わなければいけない状況になったりすることが増えたため、YouTubeに公開されているムービーを見て予習を行うようになったとのこと。バラッド医師によれば、YouTubeには難しい手術や珍しい症例を解説するムービーが数多く公開されていて、手術室でYouTubeを参照することもあったそうです。


CNBCによれば、医師の中には、自身が行った手術の様子を医師向けの参考資料としてYouTubeで公開したり、自分自身のスキルを証明するものとして就職活動に使ったりしているとのこと。2019年10月にオーストラリアのオースティン病院に勤める医師チームは、外科手術のムービーが2009年にはおよそ500本しか投稿されていなかったのに対して、2019年には前立腺の手術だけで2万本以上のムービーが投稿されていると発表しています。

また、2016年にアイオワ大学が医学生と医師を対象に調査を行ったところ、およそ86%の回答者が「外科手術の研修用資料にYouTubeを使ったことがある」と回答しました。

by U.S. Pacific Fleet

さらに、何万本もある外科手術関連のムービーの中には、再生回数が100万回を超えるほどの人気を誇るものも存在します。例えば、アメリカのペンシルベニア州にあるウィルズ眼科病院で行われた白内障手術のムービーは、記事作成時点で180万回以上の再生回数を記録しています。

「外科手術の映像資料を頒布する」という作業には本来かなりのコストがかかるものですが、YouTubeのような大規模なオンラインプラットフォームを利用することで、安いコストで映像資料を公開することができます。しかし、その反面でYouTube自体は医療専門のプラットフォームではなく、内容の精査が行われず、品質ではなく人気に基づいてコンテンツが表示されてしまうという欠点があります。

スタンフォード病院の血管外科医であるオリバー・アラミ医師は、自身もYouTubeを利用していることを明らかにしながらも、「確かにYouTubeに上がっている外科手術のムービーは役に立ちますが、一部はその内容を検証するべきだと思っています」と述べました。

2017年に発表された研究では、橈骨(とうこつ)遠位端骨折の手術に関するムービーはYouTubeに6万8000本以上アップロードされているものの、研究者が技術的・教育的な側面で評価したところ、映像資料として基本的な基準を満たしたものはわずか16本しか見つからなかったと報告されています。また、施術者の資格情報が不明のムービーも存在したとのこと。

また、オースティン病院の医師は、YouTubeの検索アルゴリズムによって表示されるムービーは、決して医師のテクニックで順序が決まるわけではないことを指摘。例えば、腹腔鏡を使った胆のう摘出手術に関するムービーのうち、およそ半数が安全性への配慮を欠いていたそうです。

by Ethan Trewhitt

YouTubeが医療の資料ライブラリとして世界中で活用されている状況は、YouTubeを運営するGoogleも認識している模様。Googleのヘルス部門ヴァイス・プレジデントを務めるデヴィッド・ファインバーグ氏は、2019年11月に行われたイベントで、多くの外科医がYouTubeに注目していることを指摘しました。また、ファインバーグ氏はGoogle全体でヘルスケアに関するフェイクニュースと戦う一環として、より質の高いコンテンツ管理を行いたいと述べました。

医療専門家の中には、医療向けのデジタルコンテンツの精査を支援するため、YouTubeに協力するという意志を表明している人も存在します。そのうちの1人である大手医療法人ジェファーソン・ヘルスのスティーブン・クラスコCEOは、「長期的に見れば、YouTubeは外科手術などの優れた医療コンテンツを他の映像コンテンツよりも推していくべきです」「Googleが迎えるべき未来は、公式に社会のパートナーとなることです」とコメントしています。

by Vancouver Coastal Health

また、「テクノロジーはヘルスケアに変革をもたらすと認識していますが、医学部の教授は果たしてプログラミングやソーシャルメディアを学生と同じレベルで理解できているのでしょうか?」とクラスコCEOは疑問を投げかけており、多くの医療教育機関では、昔から変わらない方法で医療教育が行われていて、デジタル時代に適応できていないと指摘しました。

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in ネットサービス,   サイエンス, Posted by log1i_yk

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