運動は「体重を減らす」ことに向いていない、運動が健康にもたらす5つのメリット

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現代社会では「肥満は悪」とされ、さまざまな病気の原因にもなるといわれています。体重を減らすためにはもちろん運動を行うことが重要ですが、「運動することは決して体重を減らすことに直結しない」と、オーストラリアカトリック大学で運動学および栄養学を研究するエブリン・パー氏が解説しています。

If weight loss is your only goal for exercise, it's time to rethink your priorities
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一般的には「太っている人は運動不足で不健康だ」と考えられていますが、パー氏は「体重を減らすこと」が必ずしも「健康であること」とイコールではない可能性を指摘しています。2011年に発表された研究では、「年齢が高くなると、太っている人よりもやせている人の方が大きい健康リスクを抱えていることが判明した」と報告されました

また、体重を減らすためには過剰に摂取したカロリーを消費する必要があり、カロリーを消費するためには、運動が一番手軽な方法です。しかし、「運動は体重を減らすのに最適な方法ではない」とかねてから指摘されています。

「運動は健康にいいがダイエットに最適な方法ではない」という理由とは？ - GIGAZINE

2019年6月に公開された研究では、運動すると食欲が増進されるため、結果的に摂取カロリーも増加してしまい、効果的な体重減少につながらないことが報告されています。なお、この研究では、「過度の肥満は、食事療法や薬の投与によって治療できる」ことが結論づけられています。

パー氏は、「体重を減らすこと以外にも運動にはさまざまな健康上のメリットがある」と述べ、以下の5点を挙げています。

◆1：心肺機能の向上
心肺機能は、立ち止まらずにどれだけ遠くまで走ることができるか、あるいは息を切らさずにどれだけ階段を登ることができるかに関わります。長く走ったり、なるべく階段を利用したりすることで、心肺機能の絶対的な向上が期待できる、とパー氏。過度の肥満で運動による関節への負担が危ぶまれる場合は、プールでの水泳やサイクリングなど、体重が負荷とならないような運動を行うとよいそうです。また「ウェイトトレーニングは、運動性や関節機能、筋肉量を維持するのに重要です」とパー氏は主張しました。

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◆2：メンタルヘルスの向上
2018年に発表された調査によると、運動によってメンタルヘルスが向上し、ストレスの減少、うつ病の緩和などがみられるとのこと。これは、運動で脳への血流が増加し、エンドルフィンの放出も増加するからと考えられています。

◆3：心臓病および脳卒中のリスクの低下
運動は心臓病や脳卒中のリスクを減らすといわれています。定期的な運動は血圧の低下にも役立ち、体全体へ血液やリンパを送る循環器を改善するとのこと。また、「週に50分程度のランニングでも心臓病やがんによる死亡リスクが低下する」という研究も発表されています。

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◆4：内臓脂肪の燃焼
エネルギー源として蓄えられている脂肪は、グルコースよりもエネルギー源として利用するためのコストがかかるため、運動によって脂肪を燃焼するのは困難だ、とパー氏。しかし、定期的に運動することで、体が脂肪をエネルギー源として燃焼する能力が高くなり、安静時により多くのエネルギーを消費するようになるとのこと。たくさん運動すればするほど脂肪が燃焼されるというわけではありませんが、運動することで脂肪の代謝速度があがり、内臓脂肪が燃焼されやすくなるとパー氏は主張しました。

◆5：体重の増加を防ぐ
運動は、体重を減らす目的にはあまり有効的ではありませんが、「体重が増えるのを防ぐ」には良い方法だとパー氏は指摘しています。2017年に発表された研究では、「体重を長期にわたって維持するためには、運動量の大幅かつ持続的な増加が必要になる」ことがわかっています。ただし、パー氏は「ダイエットで体重を減らすと、元の体重に戻ろうという生理的衝動が起こるため、より多くの運動が必要になるかもしれません」と述べ、運動で体重の増加を防ぐことは大変だと述べています。