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Appleの修理サービスは赤字


Appleが自前で提供する修理プログラムは「運用コストが修理プログラムにより生み出される収益を超えている」ことが明らかになりました。

Apple says its been losing money on its repair programs
https://appleinsider.com/articles/19/11/20/apple-says-repairs-cost-more-than-they-earn-in-charges

Apple says it doesn't make any profit from repair services
https://www.idownloadblog.com/2019/11/20/apple-repair-services-profits/

Appleは2019年の7月からGoogle、Facebook、Amazonといった巨大IT企業と同じように、アメリカ下院司法委員会による反トラスト法(独占禁止法)関連の調査を受けています。この調査に対するAppleからの(PDF)書面による回答が公開され、この中でAppleは「修理プログラムは赤字」と主張しています。

下院司法委員会はAppleに対して、「雇用している修理技術者の数」や「2009年以降に修理プログラムから得た総収益」などのデータの提出を求めたところ、Appleは正規のサービスプロバイダーを含めればApple認定の修理技術者の数は数万人にものぼると回答しています。これに加えて、サードパーティーの修理業者なども存在するため、修理サービスに携わる技術者の数はかなりの規模である模様。


さらに、2009年以降に修理プログラムから得た総収益については、「修理サービスを提供するのにかかる費用が、収益を上回っています」と回答し、Appleの修理プログラムは赤字であると主張しています。

なお、Appleは2017年末に「iOSの更新により古いiPhoneの性能を落としている」ことが大きな問題となりました。その後、Appleは正式に謝罪し、バッテリー交換費用を60%以上値引きすることを発表しています。バッテリー交換費用の値引きにより1100万台ものiPhoneがバッテリーを交換することにつながったことも明らかになっており、これが修理プログラムの赤字に大きく関与している可能性が高いです。

Appleが古いiPhoneの性能低下問題を正式に謝罪しバッテリー交換費用を60%以上値引きすると発表 - GIGAZINE


下院司法委員会はAppleに対してApple認定サービスプロバイダーについても説明を求めており、Appleは「Apple認定サービスプロバイダーはAppleの小売店のスタッフが実施できるのとまったく同じ修理(修理の種類と製品の種類の両方)を行うことが許可されています」と回答しています。さらにAppleは、「店舗(Apple公式の修理サービスであるGenius BarsおよびApple認定サービスプロバイダー)で修理できない複雑な案件については、Apple Retail StoreとApple認定サービスプロバイダーの技術者の両方が修理のためのユニットをApple Repair Centerに送ることができるようになっています」と回答し、Apple認定サービスプロバイダーの提供するサービスはApple公式の修理プログラムと同等のものであることを強調しています。

そのほか、Appleが修理を拒否するケースについては、「Appleは将来的には、顧客への修理サービスを拒否しない方針です。例えば、第三者により修理が行われたデバイスを自動で排除するようなことはありません。同じように、Apple純正の部品と同じように動作するよう設計された非純正の部品に対しては、それらがAppleの知的財産権を侵害している場合であっても、修理プログラムのサービス対象外とすることはありません」と記しています。


ただし、修理サービスを拒否するケースについて「メインロジックボードやエンクロージャなど、特定のコンポーネントが交換されたデバイスは、コンポーネントを交換するためにデバイスそのものを再度組み立てする必要があります。そして、あるポイントまでデバイスを分解してしまうと、再組み立てには特別なツールとプロセスが必要になります。そこでAppleによる適切なツールとプロセスを使用せずに分解されたデバイスを再組み立て使用とすると、問題が発生する場合があります。Apple純正のコンポーネントが『Apple純正のコンポーネントのように見えるもののそのように機能することはない偽造コンポーネント(例えば、偽のスピーカーやカメラモジュールなど)』に置き換えられた場合、デバイスが経済的な修理の範囲を超えており、修理にはデバイスそのものを交換するよりも大きなコストがかかる場合があります」とも説明しています。

また、Appleの正規の修理パーツを購入するための条件としては、「Apple認定の修理技術者が少なくとも1人以上いる企業」が挙げられているものの、Appleは「Apple Genuine Parts Repair」というプログラムを通してサードパーティーの修理業者に対しても正規の修理パーツやツールを提供していることが明らかになっており、「Appleはユーザーの修理する権利を認めていく方針のよう」と報じられていました。

AppleはユーザーがApple製品を「修理する権利」を認める方向だと内部文書から判明 - GIGAZINE

by Ryan Ozawa

その後、Appleは認定サービスプロバイダーだけでなくサードパーティーの修理業者に対しても正規の部品や修理ツールを供給する、「独立系修理プロバイダープログラム」を正式に発表しています。

Appleがサードパーティーの修理業者にも正規の部品&修理ツールを供給 - GIGAZINE

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in モバイル, Posted by logu_ii

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