「地球に最も近い惑星は?」という問いに対する驚きの結論とは?
By WikiImages
「地球から最も近いところにある惑星は何か?」という問いは学校でも解説されるところですが、「果たして学校で教えられる答えは正しいのか?」と科学者が再度計算しなおしました。科学系YouTubeチャンネルCGP Greyは「地球に最も近い惑星」についてアニメーションでわかりやすく解説しており、最後には、「直観に反する驚きの結論」が導き出されています。
???? Which Planet is Closest? Spoiler: No. - YouTube
物理学の講義では、「太陽系」に関する授業が必ず行われます。これまで学校の授業では、太陽系は、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星が一直線に並んでいると説明されました。
ただし、2006年には冥王星が太陽系の惑星として扱われなくなったので、近年の太陽系の図からは冥王星が除外されています。
「地球に最も近い惑星」は、学校で使われる図をみると金星か火星であるかのように見えます。
しかし、「地球に最も近い惑星」を考えるためには、学校で教わる大半のことが「ウソ」であるのと同様、この図もまたウソだと理解しておく必要があるとのこと。
惑星は、宇宙空間で回転楕円(だえん)体に動いています。
それぞれの惑星が行う楕円運動は、同じ平面上にあるとは限りません。他の惑星の楕円運動に対して角度がついた楕円運動を行う惑星もあります。
地球も金星も太陽を中心とした楕円運動を行っており、周期によっては太陽を挟んで反対側に位置する場合もあります。以下の図では、黄色い丸が金星で、緑色がついた青丸が地球。以下の図のように金星と地球の間に太陽が来る場合に、金星は地球から最も離れた状態となります。
金星と地球の距離が離れている場合に、火星と地球のほうが近づく場合もあります。以下の図の赤丸が火星。金星、地球、火星が以下の図のようになると、地球に最も近い惑星は火星といえます。
というわけで、「地球に最も近い惑星とは?」という問いに対して、定まった答えはありません。
質問を正すならば、「地球に最も近い時間が最も長い惑星とは?」となります。
火星と金星が太陽を挟んで地球と反対側に位置する場合、水星が地球に最も近くなる場合もあります。地球に最も近くなりうる惑星は、水星、金星、火星の3つに限られます。以下の図で、緑色がついた青丸は地球、灰色の丸が水星、黄色い丸が金星、赤色の丸が火星。周期の関係で金星と赤丸が離れた状態では、水星が「地球に最も近い惑星」となるわけです。
水星の楕円軌道は最も小さいため、最も地球から離れる場合でも、金星と火星に比べて距離が短め。そのため、「地球に最も近い時間が最も長い惑星」は、水星です。
学校で教わる太陽系の惑星が直線に並べられた図をみると、「地球に最も近いのは水星ともいえる」という結論は不可解に思えます。ですが、宇宙空間で惑星が行っている「実際の運動」を分析すると、そういった結論になるわけです。
加えて、「金星に最も近い時間が最も長い惑星」もまた水星です。
さらに、「火星に最も近い時間が最も長い惑星」もまた水星。水星は「金星、地球、火星に最も近い時間が最も長い惑星」の3冠を達成しています。
一方、木星は火星までの太陽系の惑星に比べてかなり離れた位置で楕円軌道を行っています。
しかし、楕円軌道が最も小さいという金星、地球、火星と全く同じ理由で、「木星に最も近い時間が最も長い惑星」もまた水星。
さらに、木星より外側を周回する惑星に対しても、水星が最も近い時間が最も長くなります。そのため、「太陽系の惑星全てに対して、最も近い時間が最も長い惑星」は水星です。
なお、CGP Greyが公開した今回のムービーは、アメリカのロスアラモス国立研究所に博士研究員として勤めているトム・ストックマン氏と、アメリカ軍の技術研究開発局に所属するガブリエル・モンロー氏、NASAに勤めるサミュエル・コードナー氏の以下の共同研究をわかりやすく解説したもの。さらに詳細な内容は、以下の記事から確認できます。
Venus is not Earth’s closest neighbor
https://physicstoday.scitation.org/do/10.1063/PT.6.3.20190312a/full/
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