猫をなめることで親密度アップを狙う「LICKI Brush」に効果はあるのか?
「猫同士は舌でなめ合うグルーミングで親密さを増すのに、人間はグルーミングの輪からはじき出され、せいぜい猫から一方的になめられるだけだ……」という問題を解決すべく、人間も猫にグルーミングを行えるようにする「LICKI Brush」が開発されました。LICKI Brushは実際に猫との絆を深める効果があるのか?ということで、その実用性が確かめられています。
licki - PDXPETDESIGN.COM
https://pdxpetdesign.com/licki/
LICKI Brushは人間の舌に取り付け、猫にグルーミングすることで、猫との関係をぐっと親密にできるというアイテム。クラウドファンディングプラットフォームのKickstarterで出資を募り、5万2000ドル(約550万円)以上を集めて製品化しました。価格は25ドル(約2600円)です。
LICKI Brush - PDXPETDESIGN.COM
https://pdxpetdesign.com/product/licki/
猫は社会的な絆を強くする方法の1つとして舌で相手をなめるグルーミングを行いますが、人間はこのグルーミングの輪から外れている……ということで、開発されたのがLICKI Brushです。「母猫が子猫と絆を結ぶように、あなたも猫と親密な関係を築くことができる」と開発者らは述べています。
これがLICKI Brush。食品グレードのシリコン製で、猫の繊細な皮膚に喜びを与えられる設計になっているとのこと。洗浄は水と石けんで行えばOKです。
暗闇で光るので……
深夜に猫が甘えてきても、電気をつけることなくLICKI Brushを探しだし使うことが可能とのこと。
実際に猫とグルーミングを行っている様子は以下のムービーから確認できます。
Official LICKI Brush Kickstarter Video ^_^ - YouTube
実際に、このLICKI Brushを使ってみたのがTheAtlanticのライターであるDavid A. Grahamさん。
Does My Cat Want Me to Lick Her Back? - The Atlantic
https://www.theatlantic.com/science/archive/2019/07/does-my-cat-want-me-lick-her-back/594988/
AmazonでLICKI Brushを購入したGrahamさんが固い4インチ(約10センチ)の舌を見て最初に思ったのは「昔のスパイク付きバスケットボールシューズのよう」というものでした。LICKI Brushの裏には飼い主がくわえる突起がついていますが、これは大きなマウスガードのようだとのこと。
Grahamさんの飼い猫のネリーはブラシがけを嫌っていたことから、LICKI Brushを使うことでネリーに噛まれたり引っかかれたりするのではないか?と思っていたそうですが、実際にはそのような事態にはなりませんでした。ネリーは最初、Grahamさんが装着したLICKI Brushの匂いをかいでいたそうですが、数分経つと、体を丸めて目を閉じながらLICKI Brushによるグルーミングを受けはじめたそうです。ネリーは背中や尻尾をグルーミングされることを好み、幸せそうに鳴き声を上げ始たとのこと。
一方で、LICKI Brushのマウスピースを数分間ホールドすると顎が痛くなり、口の中に唾液がたまって不快さが感じられたとのこと。また口の中に猫の毛が入り込むことはありませんが、鼻や目の中には入り込み、猫も飼い主も心地良い状態で数分間グルーミングができる体勢は見つからなかった、とGrahamさんは記しています。ただし、Grahamさんによると、飼い猫の性質によって心地よさを感じるかどうかも異なり、猫に嫌がられる人もいれば、「誰が笑おうと猫が愛してくれるからLICKI Brushを使い続ける」と語る人もいたそうです。
カリフォルニア大学デービス校の研究者であるMikel Maria Delgado氏は「グルーミングによって猫は絆を強くする」という点に同意しつつつも、「1998年の研究ではグルーミングの3分の1が敵対行動に終わることがあると示されている」と指摘。仲の良い猫同士でもグルーミングには許容量があり、LICKI Brushを使ったグルーミングが猫を不快にさせる可能性も十分にあると示されています。
by Paul Hanaoka
Grahamさんの飼い猫であるネリーはLICKI Brushによるグルーミングを非常に喜んでいたことから、首や顎の痛みを感じつつもしばらくはネリーに対してグルーミングを行っていたGrahamさんですが、最終的には痛みに屈してLICKI Brushを手で使い始めたそうです。しかし、これに対してもネリーは心地よさを示したことから、「LICKI Brushは絆を強くするのに効果的なツールである。例えLICK(なめる)という動作が伴わなくとも」とGrahamさんは結論付けています。
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