サウナ利用者は「間違った効能を期待してサウナに入っている」という調査結果
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近年の研究により、サウナには認知症や糖尿病の改善や予防に効果があることが分かっています。しかし、サウナによく入る人を対象とした調査結果から「サウナ利用者が期待している効能には医学的な裏付けがない一方、既に証明されている効能はほとんど知られていない」ということが判明しました。
A hot topic for health: Results of the Global Sauna Survey - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0965229919300998
People use sauna for well-being, but its medical benefits are not widely understood
https://theconversation.com/people-use-sauna-for-well-being-but-its-medical-benefits-are-not-widely-understood-117972
ロイヤルメルボルン工科大学のジョイ・フセイン氏らの研究チームは、サウナをよく利用する人を対象とした大規模なオンライン調査を実施。この調査で回答を寄せたのは合計29カ国に住む平均年齢45歳のサウナ利用者472人で、男女比は男性が51.3%で女性48.7%とほぼ半分ずつでした。また、回答者のうち81%が高学歴・90%が非喫煙者でしたが、その一方で全体の3分の1が太り気味もしくは肥満という傾向がありました。
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回答が最も多かった上位3カ国はフィンランド、アメリカ、オーストラリアで、フィンランドでは伝統的な蒸し風呂式のサウナがよく利用されていましたが、アメリカとオーストラリアでは赤外線式のサウナが人気でした。
また、サウナに入る理由として最も多く挙げられたのは「リラクゼーション及びストレス解消」でした。実際に、サウナを月に5~15回利用している人は、サウナの利用頻度が月に5回未満だった人に比べて幸福度のスコアが高いという結果が得られています。ただし、その差はごくわずかだったため、「温熱療法と精神的健康の関係性を明らかにするには、さらなる研究が必要」だとのこと。なお、肉体的な健康スコアと利用頻度の多寡との間に関係性は見られませんでした。
「リラクゼーション及びストレス解消」以外の動機としては「体の痛みを和らげること(88%)」「知り合いと会って会話すること(85%)」「血行を良くすること(85%)」「デトックス(83%)」といった回答が寄せられたほか、サウナ内で実際に起きていることとして回答者全員が「リラクゼーション」を挙げました。さらに、回答者の79%が「ほかの人との会話」があったと答え、68%が「瞑想(めいそう)」をしていると答えています。
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また、研究チームが「サウナ後に実感している効能」をまとめたところ、回答者の84%が「安眠効果がある」と回答し、「背中や筋肉などに痛みを感じている人」の3分の2が「少なくとも一時的には痛みが取れた」と回答。しかし、フセイン氏は「サウナに睡眠の改善や筋骨格系の治癒に関する効果があるとの科学的な証拠はほとんどなく、治療に使われているという実態もありません」と否定。
その一方で、以前からサウナには心臓発作や脳卒中といった心血管疾患に効果があるということを示す複数の研究報告がなされているにも関わらず、こうした効能を知っていたサウナ利用者は少なかったとのこと。
フセイン氏は、サウナ利用者が期待している効能と実際の健康効果が食い違っている原因を「サウナの予防医学的なメリットが医療関係者にほとんど知られていないため」だと指摘。サウナ研究者がより積極的に医療関係者に関与していくことで、臨床現場と地域社会の両方にサウナの効能についての理解を広めることが重要だと述べました。
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