ウェブ広告を欺き「ユーザーが興味のない広告」を表示させるアンチ広告サービス「Track This」

ブラウジング中にウェブサイトへ表示されるウェブ広告はユーザーごとにカスタマイズされており、ユーザーが興味を持ちそうな広告が表示されるようになっています。広告企業はCookieを利用してユーザーのプライバシーをのぞき見していますが、ウェブブラウザのFirefoxを開発するMozillaは、Cookieを別の人格に偽装することでそんなウェブ広告を欺き、本来の自分と関係ない広告を表示させるウェブサービス「Track This」を公開しました。
Track This | A new kind of Incognito
https://trackthis.link/
Hey advertisers, track THIS | The Firefox Frontier
https://blog.mozilla.org/firefox/hey-advertisers-track-this/
自分の好みにカスタマイズされた広告はユーザーがクリックする可能性が高くなり、広告企業にとってメリットがあるもの。しかし、時にはあまりにも自分の好みに合致した広告が表示されたり、住んでいる場所を知られているかのような広告が表示されたりすることがあって驚かされます。
そんな個人ごとにカスタマイズされた広告は、ユーザープライバシーを広告企業が得ることによって実現しています。ユーザーはCookieと呼ばれるブラウザに保存された小さな情報を基に追跡されており、言語や訪問したサイト、通販で購入した商品といった情報が広告企業に利用されているとのこと。MozillaはCookieが便利なものであることは認めつつも、広告ネットワークが同意なしにユーザーのCookieを収集することは問題があると指摘。ユーザーは自身のCookieや広告主に渡る情報を管理できるようになるべきだと主張しています。
そこでMozillaが開発したサービスがTrack Thisです。訪問したサイトなどの情報を収集したCookieを基に広告がカスタマイズされていることを逆手に取り、あえて「本来の自分とは全く関係ないサイトのタブを大量に開く」ことで、広告企業を欺こうという目的でTrack Thisは開発されました。ページの下部には「Hypebeast(ファッションリーダー)」「Filthy Rich(お金持ち)」「Doomsday Prepper(終末の日に備える人)」「Influencer(インフルエンサー)」という4種類のパーソナリティが表示されており、好きなタイプを選んで広告を表示させることが可能。

たとえば「Hypebeast」をクリックしてみると…

Hypebeastがどのような人なのかがわかります。Hypebeastとは流行の服や靴などに興味を持ち、新しい音楽などに興味を持つ人格であるとのこと。下部の「TRACK THIS」をクリックすると、ブラウザで一気に100個ものタブが開いてしまうため、事前に他のタブを閉じたり既存の作業を保存したりしておくのがオススメです。実際にTRACK THISをクリックしてみます。

すると、まずはブラウザの設定を変更するように求められました。これは、ブラウザの多くがマルウェアなどの対策のため一気に100個ものタブを開くことができないようにしているのが理由。今回はChromeを使用していたので、左上の南京錠アイコンをクリックし、「サイトの設定」をクリックします。

「ポップアップとリダイレクト」の項目を「許可」に設定する必要があります。

設定が完了したら、再びウェブサイトに戻って「OPEN 100 TABS!」をクリック。

すると、またたく間に大量のタブが開き始めます。

タブの量があまりにも多いため全てのサイトを確認するのは困難ですが、スケートボード文化やヒップホップに影響を受けたアイテムで知られるファッションブランド・シュプリームであったり……

アウトドア用品のザ・ノース・フェイス

音楽やポップカルチャーのニュースサイトであるComplexなどのサイトがある模様。

いったんブラウザを閉じて全てのタブを消してから、再びブラウジングしていると、靴の広告や……

ファッション、音楽などに関連する広告が増えたように感じられました。

また、Filthy Richで100個のタブを開いてみると……

投資家向けのニュースサイトや高級ファッションブランド、クレジットカードのサイトなどが表示されます。

Doomsday Prepperでは……

緊急避難セットや陰謀論について論じたサイトなどが開く模様。

Influencerで100個のタブを開くと……

美容品のサイトや旅行サイト、フィットネスに関連するサイトが開きました。

Track Thisを使えば一時的に自分のCookieを別の人格に偽装することが可能で、表示される広告のタイプを変更することができます。しかし、ブラウジングを続けていればやがて本来の自分に合わせた広告が表示されるようになるほか、Cookieの収集自体はストップしていないため、あくまでもCookieが広告表示に及ぼす影響を確認することが主な目的だそうです。
なお、Firefoxではユーザープライバシーの保護に力を注いでおり、今後はデフォルトでのプライバシー保護有効化に対応する予定だとしています。
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