メルセデス・ベンツのディーゼル車で違法ソフトウェアが発見されたとドイツの規制当局が発表
by Markus Spiske
2015年、ドイツの自動車メーカーであるフォルクスワーゲンがアメリカの排ガス規制をクリアするために1100万台の自動車に不正なソフトウェアを搭載していた、ディーゼルゲート事件が発覚しました。この事件と同じように、ドイツの自動車メーカーであるダイムラーが排ガス規制システムの有効性を低下させるような違法なソフトウェアを、傘下のメルセデス・ベンツのディーゼル車4万2000台に搭載していたことが明らかになりました。
Daimler Cuts Outlook on Fresh Diesel Allegations - WSJ
https://www.wsj.com/articles/daimler-slashes-outlook-on-fresh-diesel-allegations-11561367960
German regulator says it discovered new illegal software on Daimler diesels | Ars Technica
https://arstechnica.com/cars/2019/06/german-regulator-says-it-discovered-new-illegal-software-on-daimler-diesels/
ダイムラーがメルセデス・ベンツ製のディーゼル車に違法に排ガス規制を逃れるソフトウェアを搭載していたことを発表したのは、ドイツの自動車規制当局です。規制当局は違法ソフトウェアを搭載していた4万2000台のディーゼル車を回収するようにダイムラーに通知しています。
ダイムラーは規制当局からの指摘に反論しており、ディーゼル車が搭載しているソフトウェアは違法なものではないとしています。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ダイムラーはドイツの自動車規制当局による指摘に対して正式に異議を唱える予定のようです。
今回のダイムラーに対する指摘は、2015年のディーゼルゲート事件とよく似ています。ディーゼルゲート事件の場合、ドイツのフォルクスワーゲンがアメリカの環境保護庁から排ガス規制逃れのために不正ソフトウェアを使用していると指摘され、約2兆円の罰金を科されました。最終的に、フォルクスワーゲンはアメリカだけでなくEUからも罰金を科されており、罰金およびリコールにより数兆円の資金を費やす羽目になったと海外メディアのArs Technicaは指摘。
フォルクスワーゲンに約2兆円の罰金が科される排ガス不正を見つけた研究の内容とは - GIGAZINE
今回問題になっているのはダイムラーのメルセデス・ベンツブランドのディーゼル車で、EU圏内でのみ販売されていた自動車だそうです。ウォール・ストリート・ジャーナルに情報提供した情報筋によると、問題になっているのは自動車のエンジンの部品を保護するために用いられる冷却液サーモスタットに関するソフトウェア。そして、違法とされているソフトウェアは2012年から2015年までの期間に製造された車両に搭載されているとのこと。
問題となっているディーゼル車で使用されている冷却液サーモスタットは、一般的に触媒コンバータ部分に搭載されており、尿素を使用して窒素酸化物をより有害性の低い物質に還元する排ガス削減技術である選択的還元触媒を使用していません。
2018年、ダイムラーは政府の規制当局からこのソフトウェアの存在について通知を受けたとしており、同年6月には排ガス規制逃れに関する別の違法ソフトウェアに関する問題で、大型ディーゼル車の大規模リコールを実施するように命じられています。さらに、ダイムラー・BMW・フォルクスワーゲンといった自動車メーカーが、ディーゼル車やガソリン車の排ガス削減技術を妨害しているとして、欧州連合委員会により調査を受けている最中です。
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