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大容量記録メディア「LTO-8テープ」が日本企業間の争いによって不足


リニア・テープ・オープン(LTO)とはコンピューター用の磁気テープ型記録媒体であり、主にバックアップやアーカイブ用途としてエンタープライズ向けに販売されています。そんなLTOの最新世代はLTO-8となっていますが、市場を専有する日本企業同士の争いによってこのLTO-8の磁気テープが不足していると、クラウドストレージサービスを提供するBackblazeが報じています。

What to Do About the LTO-8 Tape Shortage
https://www.backblaze.com/blog/how-to-survive-the-lto-8-tape-shortage/

2017年、IBMをはじめとするLTOテープドライブメーカーが、LTO-8に対応した新たなテープドライブを発表しました。ところがBackblazeによると、記事作成時点でLTO-8にデータを実際に書き込んでいる人はほとんどいないとのこと。この原因は多くのユーザーがLTO-7からLTO-8への乗り換えに関心がないためではなく、単に「残る2つのLTOテープメーカーが特許侵害の訴訟バトルを繰り広げているから」だそうです。


前世代のLTO-7の認証を受けたLTOテープメーカーは富士フイルムソニーの2社であり、実質的にこの2社がLTOテープの製造シェアを担っている状況です。ところが、2016年に富士フイルムがソニーをLTOテープ関連の特許侵害で訴え、その後ソニーが富士フイルムを反訴するという事態に発展してしまいました。

この戦いの最中にLTOテープドライブメーカーはLTO-8に対応したドライブを発表しましたが、アメリカは2019年3月まで富士フイルムとソニーのLTOテープを輸入禁止としました。記事作成時点でも富士フイルムはLTO-8テープを製造しておらず、ソニーもLTO-8テープの輸出再開時期は不明だとしており、ドライブはあっても肝心のLTO-8テープ自体が品切れの状況が継続中。LTOの第1世代が発表された2000年には6社あったLTOテープメーカーが2社になってしまったことにより、企業間の争いがそのまま市場に製品が出回らない事態を招いています。


近年ではムービーの高解像度化などに伴って、ムービーファイルやオーディオファイルを扱う専門家は大容量のデータメディアを必要としています。そのため、各LTO世代で容量を2倍にすることを目標として新世代を発表し続けてきたLTOテープの不足は、多くのユーザーにとって問題となっているとのこと。

ずっと同じLTOテープを使い続けることも不可能ではありませんが、LTOテープのドライブは2つ前の世代までの互換性しかありません。そのため、古くなったLTOテープは次第に読み取れるドライブが減っていくこととなるため、ユーザーは新しい世代が発表されるたびに、データを最新のLTOテープに移行する必要があるとBackblazeは述べています。

BackblazeはLTO-8不足を解消する方法として、「完全に争いが終結するのを待ってからLTO-8テープを購入する」「LTO-8テープドライブを購入して未使用のLTO-7テープを『LTO Type M(M8)』という大容量向けフォーマットに初期化し、従来のLTO-7テープで標準の6TBではなく9TBのデータを保持できるようにする」といった案を挙げました。


しかし、 Backblazeは大量のデータを保管するのは非常に面倒であることから、第3の選択肢として「クラウドストレージサービスにデータを移行する」という方法を挙げています。大量のデータをオフラインで保存できるなどのLTOテープが持つ利点と、管理にかかる手間やコストを考えて自分に適した方法を選択するのがベストかもしれません。

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in ハードウェア, Posted by log1h_ik

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