レゴブロックの突起が点字になった「LEGO Braille Bricks」が登場
レゴブロックはブロック同士がくっつくための「スタッド」という突起がついていますが、この突起が点字の役割を果たす「LEGO Braille Bricks」が新たに発表されました。
LEGO Braille Bricks - News Room - About Us LEGO.com
https://www.lego.com/en-us/aboutus/news-room/2019/april/lego-braille-bricks
LEGO® Braille bricks | New Elementary, a LEGO® blog of parts
http://www.newelementary.com/2019/05/lego-braille-bricks.html
子どもに点字を教えるための教材は多くなく、教師が教材を手作りすることもあります。このような事情を受けて、LEGOはレゴブロックを使って点字を学ぶことができるプロジェクトの開始を発表しました。「LEGO Braille Bricks」と呼ばれるセットは視覚障害のある子どもに対しては無償で配布される予定とのこと。
これがLEGO Braille Bricks。2列×3行で示される点字の下に、点字に対応したアルファベットや数字が書かれています。通常の点字にはこのような文字が書かれていませんが、文字が書かれているおかげで目の見える人でも学びやすくなっているとのこと。
国によって言語が異なるため、LEGO Braille Bricksはブラジル・デンマーク・ノルウェイ・イギリスといった国々でテストされました。実際に子どもたちがLEGO Braille Bricksを使っている様子は以下から見ることが可能です。
How LEGO® Braille Bricks help kids learn! - YouTube
こんな感じで灰色の土台にブロックを接着し、単語を完成させていきます。
ブロックをカラフルな色合いにしているのは、目の見える人に対しての興味を促すため。文字と色の間に関係はありません。
1つのセットに250個ものブロックが含まれるので、赤・緑・白・青・オレンジのブロックが各50個あるわけです。
テスト後のフィードバックはポジティブなものが多かったそうですが、ネガティブなものもありました。例えば本来点字は指を横方向に動かすことで読み取るものですが、レゴブロックでは縦方向の動きで点字を読み取るようになっています。この点についてレゴ財団は、LEGO Braille Bricksが点字を学び始めた人に向けたものであり、長い文章を読むためのものではないためだと回答。タブレットやアプリなどのテクノロジーの発達とともに、子どもたちは「点字を学ぶこと」に対する興味を持たなくなっているため、いま一度子どもたちの興味を点字に向けるためのクリエイティブなツールとしてLEGO Braille Bricksは位置づけだれています。
また、LEGO Braille Bricksはブロックという形であるがゆえに、上下を逆にしてしまう可能性があります。この問題を解決するため、当初開発チームは文字をエンボス加工にすることや上下がわかる溝をつけることを考えましたが、既にオリジナルのレゴブロックから変更を加えているデザインを、必要以上に変更するべきではないと結論付けられたとのこと。そこで、ブロックの上部に点字をうち、下部には打たないというデザインにすることで解決が図られています。
点字のタイプライターは、一度打ち込んだものが間違っていた時に、後から修正することができません。しかし、LEGO Braille Bricksであれば簡単に組換えが可能であるため、非常に「教育向き」のツールになっています。「遊び」の要素も大きいので子どもたちがクリエイティブさを発揮しつつも学ぶことが可能です。
基本的には視覚障害のある人に無償で配られる予定のLEGO Braille Bricksですが、レゴブロックのファンなどからの需要も予想されます。商業ベースで販売されるかどうかは記事作成時点で未定とのことですが、その可能性は完全に排除されているわけではありません。
通常のレゴブロックとは異なるスタッドが配置されるため、レゴは新しい型を63個も用意する必要があったといいます。これはレゴ財団による資金提供を受けて可能になったとのこと。
LEGO Braille Bricksを裏側から見るとこんな感じ。ただし、通常のレゴブロックの2×4の配列よりもスタッドの数が少ないため、ブロック同士の接着力は弱くなるそうです。
なお、LEGO Braille Bricksは2020年後半のリリースが予定されています。
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