「夢の中で怒っている」ことが脳波から判断できるという研究結果
睡眠時に見る「夢」は、夢の中で何をしているのか本人以外には全くわからないのはもちろん、本人も起床後どんな夢を見ていたか認識していることは少ないとされています。そんな中フィンランドの研究チームが発表した論文では、「怒っている夢を見ていることが脳波から判断できる」ことが示されました。
EEG Frontal Alpha Asymmetry and Dream Affect: Alpha Oscillations Over the Right Frontal Cortex During REM Sleep and Pre-Sleep Wakefulness Predict Anger in REM Sleep Dreams | Journal of Neuroscience
http://www.jneurosci.org/content/early/2019/04/15/JNEUROSCI.2884-18.2019
What Angry Dreams Look Like in Your Brain
https://www.livescience.com/65232-angry-dreams-brain.html
研究では、睡眠前後の脳波および夢を見る睡眠の段階とされるレム睡眠中の脳波を測定し、参加者をレム睡眠直後に起こして「どのような夢を見ていたか」を報告させました。
結果として、「夢の中で怒りを覚えていた」と回答した参加者の脳波に固有のパターンがあり、レム睡眠中および就寝前の脳波から夢の中で怒りの感情が発生していたことを判断できたとのこと。この結果は「特定の脳波パターンを持つ人は睡眠時に怒りのような強い情動を調整ないし抑制できない」という可能性も示唆しているそうです。
研究チームのPilleriin Sikka氏によると、額の後ろあたりに位置する脳の前頭葉におけるアルファ波の活動が怒りに関係しているそうです。覚醒時に怒りを覚えるか制御しようとしているとアルファ波に変化が見られるのですが、同じ変化が「夢で怒りを覚えていた」と回答した人々の睡眠時にも見られるため、その時に夢の中で怒りの感情を抱いていたと考えられています。
研究は17人の参加者が睡眠と覚醒を繰り返して記録されたものであり、より詳細な結果を得るにはサンプルを大きく多様なものにする必要があるほか、アルファ波と感情との相関が一貫したものかを判断するために1日を通して脳波を測定することが求められるとSikka氏は述べています。一方でSikka氏は、この研究の正確性が保証されたならば、睡眠時に脳を刺激してアルファ波の活動に変化を与えることで「夢の中の感情を変える」こともできるかもしれないと展望を語りました。
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