「コーヒーは人間に必要不可欠なものではない」とスイス政府が決定

by Dominika Roseclay

コーヒーを愛する人々は世界中に存在しており、「コーヒーがなければ1日が始まらない」「コーヒーがないと生きていけない」と思っている人も多いはず。ところが、スイス政府はコーヒーを「生きるのに必要なものではない」と判断し、緊急時の備蓄用品リストから外すことを決定しました。

Kaffee-Pflichtlager in Frage gestellt
https://www.admin.ch/gov/de/start/dokumentation/medienmitteilungen.msg-id-74644.html

Switzerland Has Decided Coffee Is Inessential For Life
https://www.sciencealert.com/switzerland-has-decided-coffee-is-inessential-for-life

スイスでは第一次世界大戦以降、国家的な危機に備えて国内の物資が不足するのを防ぐため、緊急備蓄システムを整備しています。世界を巻き込んだ戦争や壊滅的な災害などに見舞われて、物資の供給網が途絶えてしまったとしても、スイス国内の倉庫に備蓄された物資により、スイスの人々は生き延びることができるようになっているとのこと。


そんなスイスの備蓄用品にはコーヒーも含まれており、倉庫には実に1万5300トンもの焙煎されていないコーヒー豆に加え、焙煎済のコーヒー豆や加工済のコーヒーなどが1万6800トン備蓄されています。この備蓄されたコーヒーにより、スイスのコーヒー愛好家は国外からの供給が遮断されても、半年ほどはコーヒーを飲むことができるようになっています。

コーヒーが大量に備蓄されているという事実は、スイス国内のコーヒー愛好家にとって喜ばしい事実でした。ところが、第一次世界大戦以来の緊急時備蓄システムにも合理化の波が押し寄せ、コーヒーが「人間の生存に必要ではない」と判断され、備蓄用品リストから外されようとしているそうです。


スイス政府が発表した声明によれば、「現在適用される基準に照らし合わせれば、コーヒーは人間の生存に必要ではありません」とのこと。コーヒーにはほとんどカロリーが含まれておらず、栄養学的な観点からするとコーヒーを備蓄することが安全保障に貢献しないと、スイス政府は述べています。

コーヒーは歴史的に「心理的な理由」から極めて重要な利益をもたらすと考えられてきましたが、スイス政府はその理由をもはや正当化できないとしています。この決定はスイス国内のコーヒー愛好家にとって残念な知らせですが、Réservesuisseのような食料備蓄業者からも、コーヒーを備蓄用品リストから外す決定に異議が唱えられているとのこと。

Réservesuisseは備蓄食料をチェックする際にカロリーが重視されるあまり、コーヒーの抗酸化物質やビタミンといった利点が考慮されなかったと主張しています。また、コーヒーを飲むことで人々の感情が前向きになり、グループ活動が促進されるという研究結果も発表されており、緊急時にはコーヒーの持つ気分改善効果が人々に大きなメリットをもたらす可能性も指摘されています。

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なお、コーヒーの備蓄をストップするという今回の決定が効力を持つのは2022年末とのことで、実際に効力を発揮するまでに政府は広くパブリックコメントを求めることにしています。パブリックコメントでは、今回の決定にショックを受けたコーヒー愛好家だけでなく、コーヒー研究者からも反対意見が寄せられる可能性があります。

RéservesuisseのディレクターであるHans Helfiger氏は、「危機に瀕した際、カロリーだけでなく心理学的な要因が生き延びるのに重要な役割を果たすことがあります。そしてコーヒーは、1日を気分よくスタートする素晴らしい方法です」と語りました。

by Dominika Roseclay

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in メモ,   , Posted by log1h_ik

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