サイエンス

カフェインが最大限のパフォーマンスを引き出す摂取量を算出するアルゴリズムをアメリカ軍が開発

by Marco Verch

コーヒーや緑茶などに含まれる「カフェイン」には、眠くなった人の目を覚ます効果集中力をアップする効果があります。眠気覚ましとしての効果を期待してカフェインを摂取する人も多く、アメリカ陸軍は「睡眠不足でも最大のパフォーマンスが発揮できるカフェイン摂取量」を測定するアルゴリズムを開発しました。

New algorithm determines ideal caffeine dosage and timing for alertness: Algorithm-based caffeine dosing strategy provides customized guidance to counter sleep loss -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2018/06/180604093116.htm

The US Army’s new algorithm will tell you exactly how much caffeine to put in your body for peak performance — Quartz
https://qz.com/1296394/the-us-armys-new-algorithm-will-tell-you-exactly-how-much-caffeine-to-put-in-your-body-for-peak-performance/

軍隊にとって「眠気」は作戦時の的確で円滑な行動を阻害する邪魔なものとして扱われ、第二次世界大戦時から兵士やスタッフから眠気を吹き飛ばし、最高のパフォーマンスで作戦に従事できる薬剤の研究が世界各国の軍隊で行われてきました。ナチス・ドイツや日本では覚せい剤の一種であるメタンフェタミンを投与することで、兵士の脳を覚醒させようと試みられたこともありました。


21世紀において、カフェインは眠気を振り払いたい時に使われる安全な薬剤として、世界で最も広く使われている物質です。しかし、いくらカフェインがメタンフェタミンといった覚せい剤と比較して安全とはいえ、過剰に投与すると命の危険があります。そこで、アメリカ軍の研究者であるジェイクス・レイフマン氏は、睡眠不足に対抗して最適の効果を発揮できるカフェイン投与量を決定するアルゴリズムを開発しました。

レイフマン氏らの研究チームは、これまでに発表された複数のカフェイン投与戦略にもとづき、被験者に対してカフェインを投与しました。次に、12個の簡単なテストを利用して人間の覚醒度合いを測る精神運動警戒タスク(PVT)を利用して、カフェイン投与によって被験者のパフォーマンスがどの程度向上したのかを測定したとのこと。

by Joey Yee

カフェイン投与量と被験者のPVTパフォーマンスを比較し、レイフマン氏らは「より大きなパフォーマンスを引き出すカフェイン量」と「これまでと同等のパフォーマンスを保つことが可能なできるだけ少ないカフェイン量」を探り、新たなアルゴリズムを開発しました。その結果、新たに開発されたアルゴリズムは以前のカフェイン投与戦略と比較して、64%ものパフォーマンス向上を達成したことに加え、従来より65%もカフェイン量を減らしても同等のパフォーマンスを維持することに成功したそうです。

レイフマン氏は「私たちが開発したアルゴリズムは、眠気に襲われた時に最大限のパフォーマンスを引き出す、安全で効果的なカフェイン投与量を自動的に算出する最初の定量的ツールです」と述べ、将来的には軍隊だけでなく、看護師やトラック運転手といった職業の人々に対しても恩恵をもたらすだろうと考えています。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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