「適量」の飲酒であっても脳卒中のリスクは高まるという研究結果
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脳卒中は脳の血管が詰まったり破れたりして、手足のしびれ・麻痺、言語・思考障害を引き起こしたり、重度の場合では寝たきりになったり、死に至ったりする病です。脳卒中は日本においてがん・心臓病に次いで高い死因を誇る病ですが、「適量」の飲酒ですら脳卒中のリスクを高めるという研究結果を、The Guardianが報じています。
Conventional and genetic evidence on alcohol and vascular disease aetiology: a prospective study of 500 000 men and women in China - The Lancet
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(18)31772-0/fulltext
Even low alcohol consumption is bad news for strokes – study | Society | The Guardian
https://www.theguardian.com/society/2019/apr/04/even-low-booze-consumption-is-bad-news-for-strokes-study
今回の研究は中国で2004年から2008年にかけて50万人以上の成人から収集された健康・ライフスタイル・遺伝データに基づいています。収集されたデータによると、週に100g以上のアルコールを摂取した人は脳卒中のリスクが下がったように見えましたが、お酒に対する強さを決定するアセトアルデヒド脱水素酵素に関する遺伝子まで考慮に入れた場合、1週間に280g以上のアルコールを摂取すると男性の脳卒中のリスクは38%上昇するとのこと。オックスフォード大学で医学に関する統計学の教授を務めており、この研究の共著者でもあるリチャード・ピート教授は「1日あたり1杯か2杯アルコールを飲むと、脳卒中のリスクは10%から15%上昇する」と語っています。
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一方、女性については飲酒量と脳卒中の因果関係は見られませんでした。これは、飲酒習慣に関する質問に対して、「ほぼ毎日飲酒している」と回答した人は男性では33%でしたが、女性は2%であり、女性の飲酒量自体がかなり低いことが原因であると考えられているようです。
摂取量は自己申告であることや中国で飲まれている酒の多くは蒸留酒であること、お酒を飲まないと回答した人の中には、健康上の理由でお酒を飲めない人が含まれてしまうなどの要因から、今回の研究は限定的であるという指摘もあります。
また、適量の飲酒は脳卒中のリスクを高めるだけではなく、脳の認知機能の低下も早めるという研究結果も報告されています。
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