メモ

「ビジネスリーダーはSF小説を読むべき」という指摘


ウィリアム・ギブスンの描いた人間がコンピュータと接続するイメージだったり、フィリップ・K・ディックが構築したサイバーパンクのイメージだったりと、サイエンス・フィクション(SF)の巨匠たちが与えた影響はジャンルの中や物語一般に見られるだけではなく、現実世界にも及ぶといわれています。その影響の大きさは、実際のビジネスシーンで技術者やデザイナーに刺激を与える貴重なアイデアとして未来の世界を描き出すSF作品が注目され、「ビジネスリーダーはより先に行くためにSFを読むべきだ」と主張されるまでになっています。

Why Business Leaders Need to Read More Science Fiction
https://hbr.org/2017/07/why-business-leaders-need-to-read-more-science-fiction

Using science fiction to explore business innovation
https://www.digitalpulse.pwc.com.au/science-fiction-explore-business-innovation/

ビジネス雑誌・フォーチュンが総収入に基づいて年1回作成する「フォーチュン500」に入った企業のうち440社にアドバイスを送るプロフェッショナルサービスファーム「プライスウォーターハウスクーパース(PwC)」が2017年に発表した記事では、「SFは一貫して将来の技術と社会現象を予測しており、SF作品を使用することで組織は独自のイノベーションにつながるアイデアを生み出すことができる」とSFによるビジネス革新の可能性が語られています。SF作品における未来の描写は未来予測としてではなく娯楽としてのものではありますが、ファンタジーと違って物理的に可能な主題をテーマにしていることが多く、実際に古い作品が現代までの技術の発展や社会の変化を言い当てていることがあるように、「人間のあり方」に光を当てる性質がSFにはあるとのこと。

またPwCによると、SF作品は「デザインフィクションアプローチ」が可能で、この方法が現実の問題に役立つといえるそうです。これは、現実のビジネスシーンでは創造性の障害となる現実的な面、すなわち金銭面の制限や技術的限界について、SFの中ではそれらに妨げられることなく新しい製品とその運用方法について探求することができるため、一種の思考実験的な想像を展開することができるというもの。企業がモノを開発してから、その場で未来の世界でその製品の実現可能性を検証するためのアイデアが、SFには詰まっているというわけです。

by Thomas Hawk

同じく2017年に経営学の雑誌・Harvard Business Reviewは、「ビジネスリーダーは、より先を行くためにSFを読む必要がある」と主張しています。SFは予言的だから役に立つのではなく、SFは未来を描くというより現実を映し出しているのであり、私たちの世界を再構築するから役立つのだとのことです。思い込みにとらわれる心に別宇宙のアイデアをもたらすことで、凝り固まった常識に疑問を持つことが可能になる点でSFは貴重であるといえます。


このように実際のビジネスシーンでSF作品のアイデアを参考にしようという動きは、有名企業でもすでに行われています。Microsoftは極秘プロジェクトも進行中の研究所にSF作家9人を招き、研究内容の解説や質疑応答などを行っています。これはSF作家にアイデアを提供するとともに、それに刺激されたSF作家が描くSF小説を研究者の刺激にすることを目的としているとのことです。


凝り固まった考えをほぐしてくれるアイデアの宝庫という点では、現実からの延長的な未来を舞台にするSF作品はビジネスに思いがけないイノベーションを与えてくれるものだと言えます。ただ、現実から大きく離れたファンタジー作品や、逆に現実そのままで革新的なアイデアに富んでいるわけではない恋愛・青春小説などでも、現実的な視点で書かれたビジネス書や指南書では得られないイノベーションを自身の中に起こせるかもしれません。進退に行き詰まって技術的にも精神的にも悩んでいる時には、フィクションの世界に足を踏み入れてみると、こうしたブレイクスルーを自然に起こすことができるかもしれません。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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