アルゴリズムを用いて「大麻に関する過去の有罪判決を取り消す」試みがスタート

by Michael Fischer
近年では大麻を合法化する動きが多くの国や地域で盛んとなっており、アメリカのカリフォルニア州でも2016年11月の住民投票で娯楽用大麻の使用が合法化され、2018年1月1日から大麻の販売等が解禁されました。カリフォルニア州では大麻合法化を受けて、マリファナ関連の有罪判決を過去にさかのぼって取り消す方針を打ち出しており、サンフランシスコ地方検事局は「アルゴリズムを用いて罪を取り消すかどうかのチェックを行う」試みをスタートしていると発表しています。
Algorithmic Justice Could Clear 250,000 Convictions in California – Artificial Lawyer
https://www.artificiallawyer.com/2019/02/26/algorithmic-justice-could-clear-250000-convictions-in-california/
Code for America clears 8,132 marijuana convictions, with more to come
https://mashable.com/article/code-for-america-san-francisco-marijuana-convictions/#Hu0rRo4_KPqK
カリフォルニア州では21歳以上の娯楽用大麻の使用や販売を解禁しています。これに伴ってロサンゼルスでは、過去に大麻関連で起訴された人々に下された有罪判決を取り消す方針を打ち出しています。サンフランシスコの地方検事であるジョージ・ガスコン氏は、「これは政治的な動きではなく、人間性と尊厳に関する問題だと私は考えています」と述べました。
ガスコン氏によれば、有罪判決を受けた過去は人々の生活に多大な影響を与えているとのこと。たとえば過去に有罪判決を受けていたことを理由に大家が賃貸物件への入居を拒否したり、就職において不利になったり、親の犯罪歴を理由に子どもが地域のコミュニティに参加できなかったりと、考えられる悪影響は多岐にわたります。そのため、今回実行されている過去の有罪判決取り消しの作業は、人々が社会のコミュニティに居場所を取り戻すために重要なものだそうです。
しかし、過去の大麻関連の有罪判決を全てチェックし、特に重大なものではない比較的軽い罪を選び出して判決を取り消すことは非常に手間のかかる作業です。そこで、人力に頼っていると膨大な時間がかかってしまうこの作業を、行政が抱える問題をITで解決するNPOの「Code for America」が開発したアルゴリズム「Clear My Record」を用いて処理する試みが行われています。

by Geisteskerker
Clear My Recordは複雑なアルゴリズムではなく、端的にいえば「検索・ランク付け・フォーム記入」を行うものだとのこと。大麻関連の有罪判決をチェックし、鍵となるデータポイントを特定して有罪判決取り消しが妥当なのか、それとも判決を取り消すべきではないのかを決定します。判決取り消しの決定が下された場合、アルゴリズムは判決内容から重要な文言をピックアップしてPDFのフォームに必要な情報を記入し、判決取り消しの申し立て文書を作成。その後、サンフランシスコ地方検事局がリスト化された文書を裁判所に提出するという仕組みになっています。
これによって人間の労力を最小限に抑え、効率的に有罪判決取り消しの事務作業を行うことが可能になりました。サンフランシスコ地方検事局はClear My Recordを導入する前に1230件の判決取り消しを処理していましたが、Clear My Recordを試験導入してからは8132件もの案件がアルゴリズムによって処理されたとのこと。
Code for Americaは今後、カリフォルニア州でサンフランシスコ以外の4つの郡でもアルゴリズムの試験的導入を行うとしており、サンフランシスコと合わせた5つの郡での結果を基にClear My Recordを改善するとしています。そして試験導入によるフィードバックを反映させた後は、さらに広範囲でClear My Recordによる事務処理が行われる予定です。
ガスコン氏はClear My Recordの導入時に、「21世紀の問題を解決するのに20世紀のツールを使用し続けることは、人々に負担を強いることになる」と述べていました。ガスコン氏は今後、アルゴリズムを利用した事務処理プロセスがさらに広がることを期待するとしています。

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