果物や野菜を多く食べると身体だけではなく精神の健康にも良い
by Steven Feldman
ダイエットや健康のために「果物や野菜の摂取量を増やそう」と考える人は多いものですが、このような食生活は肉体の健康に良いだけではなく、気分の向上や感情面の幸福も後押しするとの研究結果が報告されています。
Lettuce be happy: A longitudinal UK study on the relationship between fruit and vegetable consumption and well-being - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0277953618306907
University of Leeds | News > Health > Hearts and minds: fruit and veg boost well-being
https://www.leeds.ac.uk/news/article/4366/hearts_and_minds_fruit_and_veg_boost_well-being
リーズ大学で行われた研究では、イギリスの世帯を対象に2010年から2017年まで収集された長期調査データを分析しました。調査に参加した人は、1日または1週間にどれくらいの生鮮食品を食べるか、および自らの幸せレベルや自己価値・不安の有無についても含めた健康質問票に記入しました。
結果として、「果物や野菜の1単位」を「カップ1杯またはこぶし大の生野菜」「カップ半分の調理された野菜またはカットフルーツ」「果物1個」と定義すると、1日に3~4単位の果物・野菜を摂取している人は、摂取しなかった人と比べてより良い心理的幸福を報告したと発見されました。この幸福状態は一般的な健康状態や人生の満足度ではなく、前後の変化を考慮して「良い影響を与えたか」という観点で測定されています。この「良い影響」が1ポイント高かった日には、0.11単位より多くの果物および0.14単位よりも多くの野菜を消費していると報告されています。
論文では、「この調査結果は、果物と野菜の消費量を1日あたり約10.5単位増やすことで、失業状態から仕事に就くのと同じ精神的幸福へのプラス効果をもたらすことを示唆しています」とその効果について強調しています。また、1日に1単位の摂取量を増やすだけでも、1カ月あたり8日余分にウオーキングするのと同じ効果があると述べられています。
しかしながらこの調査では、イギリス政府が推奨する摂取量の「1日5単位」を満たす人すら少なかったため、より高いレベルで果物や野菜の摂取を勧める方法が重要度であることが論文では示されています。
生鮮食品がなぜ私たちの精神的健康を増進させるのかははっきりしていないとのことですが、過去の研究では、豆やオレンジ、ほうれん草が豊富に含むビタミンEとビタミンCの働きが関係していると示唆されています。また果物や野菜に含まれる複合糖質は、気持ちいい感覚を生むホルモン・セロトニンのレベルを高める可能性もあると考えられています。
イギリスの国民保険サービス(NHS)はこの調査結果について、ここで用いられたのは縦断的コホート研究であるため、果物と野菜の摂取が精神的な幸福につながるという関連性を見つけるのには向いているものの、ある要因が他の要因を直接引き起こすことを証明することはできず、測定されていない他の要因も影響を受ける可能性があると指摘しています。
NHSはこの研究には限界があり、果物や野菜の摂取が実際に精神的な健康の向上をもたらすのかどうかを明確に教えてはくれないと慎重な態度をとりつつも、果物と野菜をたくさん採ることに利点があることは間違いなく、それがもし幸福感、充実感、不安感の軽減につながるのであれば、それは良いことであると前向きに述べています。
・関連記事
健康寿命を延ばせる物質「フィセチン」が野菜や果物に含まれている - GIGAZINE
葉物野菜を多く取る人ほど加齢による記憶力低下が緩やかになっている実態が判明 - GIGAZINE
「寝る直前にカッテージチーズを食べると健康にいい」という研究結果 - GIGAZINE
糖質の摂取を控える「糖質制限ダイエット」は体に良くないという研究結果 - GIGAZINE
本当に「健康的な食生活」とは何か?過去40年分の研究を洗いざらい調べてわかったこと - GIGAZINE
うつ病はコレステロールや肥満と同じくらいに心疾患のリスクを高める - GIGAZINE
・関連コンテンツ