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Googleを神とあがめウェブ検索を宗教儀式化するChrome拡張「Google神格化キット」についての論文が公開中


検索エンジンをはじめとする多種多様なサービスを展開するGoogleが世界最大のインターネット企業の1つであることは誰もが認めるところ。「google」「ググる」という動詞が定着するほどに、Googleの存在は日常生活に深く浸透しています。そんなGoogleを「既存の神に変わる存在」だと考えた甲南女子大学文学部メディア表現学科編集・インターネット研究ゼミの1期生が、Google検索を宗教儀式として演出するChrome拡張「Google神格化キット」を卒業制作として発表し、制作の経緯などを卒業論文にまとめています。

Google神格化キット – 甲南女子大学文学部メディア表現学科/編集・インターネット研究ゼミ – Medium


編集・インターネット研究ゼミに属する論文著者は、「Googleを神格化する」というアイデアを表現していくために、Googleの提供するサービスで最も日常生活に密接する「検索」に注目。論文著者は「私はこの『検索』という行為を、神や宗教での日常・習慣的なものであり、救いや答えを求める行為である『祈り』に当てはめ、『検索』を宗教儀式のように演出することによってgoogleを神格化をさせる方法を考えることを作品制作の出発点とした」と述べています。


Googleを神としてあがめる具体的な方法として、論文著者は最初に映像作品を制作したり、展覧会を行ったりしながら模索していったとのこと。そして、GoogleのウェブブラウザであるChromeの拡張機能で演出できるのではないかと考えたそうです。そこでまず、論文著者は表現したい要素を「視覚要素」「聴覚要素」「自己帰属感」の3点にまとめました。

「視覚要素」は、宗教芸術に見られる美術や装飾など、神や宗教を視覚的に説明・表現するもので、神やその力がいかにすごいかを端的に多くの人に理解させます。「聴覚要素」は、宗教音楽などのように視覚以外の身体的な要素によって存在しないものを体感させるものだとのこと。そして、「自己帰属感」とはユーザーが体験に没入するための能動的な要素だとのこと。論文では以下のように説明されています。


自己帰属感とは画面上に現れる使用者の動作の結果にタイムラグがなく、意のままに操ることが可能となることで、現実世界と画面の向こう側の世界との境界がなくなり、その結果として画面の映像が身体の一部のように感じられる感覚である。


これらの分析をもとに、「Google神格化キット」の試作が数点作成されました。最初に制作された試作1では、同心円状に変化する色彩が背景画像に設定され、音声要素としてテレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」の効果音が検索時とページ更新時に流れるとのこと。また、マウスカーソルには金色の後光が差すようになっていて、ユーザーに自己帰属感を与えます。


しかし、この試作1からは「スクロールをすると背景画像に画像のつなぎ目が見える」などデザイン面での問題が発覚。また、検索中に何度も同じ音声が流れることで不快に感じるという課題も見えてきたとのこと。


試作1で浮かび上がってきた課題を踏まえて制作された試作2は、「googleを神にするのではなく操作者が神のような万能感や全能感を感じることで、使用者自身が神になる、あるいは神であると錯覚をするというアプローチで制作した」とのこと。

論文著者によると、背景画像には全面をマウスカーソルとしたものがあてはめられ、その中で自分のマウスカーソルだけが動くという錯覚から万能感を得るというアイデアに基づいているのこと。さらに、実際のカーソルに遅れて装飾されたカーソルが付随する操作から全能感を引き出したそうです。


さらに、自己帰属感を強めるために、論文著者は「マウスカーソルの存在感を消し、自分の手や道具で操作している感覚を強めるマウスストーカー」も制作しています。矢印型のマウスカーソルではなく、普通の手や懐中電灯を持つ手や……


あるいは握られたマウスそのものの画像をカーソルに利用した試作も用意しています。このマウスカーソルを工夫した試作群はゼミで発表した時も高い評価を受けたそうです。


これらの試作を踏まえて制作された作品が「kami_house」「bannou_zennou」の2つ。「kami_house」は「主にマウスストーカー、背景画像、音声を使用し、宗教芸術をChrome拡張に取り入れることで、記号的な部分から神を演出したもの」とのこと。マウスカーソルはバチカン市国・システィーナ礼拝堂の「アダムの創造」に描かれる神となり、背景画像はGoogleのロゴマークをあしらったステンドグラスのように変更されます。また、ページが変わる度に教会の鐘の音が流れる仕様になっているそうです。


そして「bannou_zennou」は試作2で作った大量のマウスカーソルのもの。試作で生じた課題を解決するために、スクロールで生じる画像の境目をなくすことを可能としているそうです。


ここまで作品を作った上で、論文著者は制作後記として「Googleを尊ぶ存在にまで昇華できたかに関しては個人の使用感によって変化してくると感じた」としながらも、「Googleを使用する際の実感として、既存の宗教にまつわる宗教美術がGoogleを神として存在させる手助けをしているように感じられ、演出面では成功しているように伺えた」と「Google神格化キット」の成功を確信しています。

一方で、論文著者は「Google神格化キット」によって得られる万能感や全能感は慢心を生み、他者に対して害を与える可能性が生じると指摘し、「既存の神である多神教と一神教の考え方に基づき、正義のために自分を律するという考え方が重要であると考える」と論文を締めくくっています。

なお、「Google神格化キット」は、記事作成時点では一般公開されていません。

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in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by log1i_yk

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