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1300曲以上の人気曲を分析して判明した「人気曲に共通するパターン」とは?

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世界中の多くの人々が音楽を聞いて楽しんでいますが、そんな音楽を「統計的に分析する」という試みはあまり一般的ではないかもしれません。楽曲の作成に役立つソフトウェアや本を制作する「Hooktheory」のライターであるDave Carlton氏は、音楽がどのように機能するのかを調べるために1300曲ものポピュラー音楽を分析し、コード進行のパターンや使用頻度について調べた結果を公開しています。

Tabs that show the theory behind songs - Hooktheory
https://www.hooktheory.com/theorytab/

I analyzed the chords of 1300 popular songs for patterns. This is what I found. – The Hooktheory Blog
http://www.hooktheory.com/blog/i-analyzed-the-chords-of-1300-popular-songs-for-patterns-this-is-what-i-found/

楽曲のコード進行については、ギターなどの入門書で解説されていることが多いものですが、それらの情報は実際に世間で人気の曲を分析して統計を取った結果ではありません。Carlton氏は2010年から2012年にかけて、アメリカのシングル人気チャート「Billboard Hot 100」から1300曲もの楽曲データを取得し、構築したデータベースをもとにポピュラーソングのコード進行について分析したとのこと。

Carlton氏が注意している点として、今回の分析はBillboardのランキングをもとにして「ポピュラー音楽」に焦点を当てたものであり、ジャズやクラシックといった分野にまで当てはまるものではないとしています。また、分析においてはコードとメロディに関する情報を集めており、アレンジメントや楽器ごとについての情報は分析していません。これらの注意点を述べた上で、Carlton氏は世間で人気の音楽に関するさまざまな疑問について答えています。

by Thibault Trillet

◆1:最も人気のあるキーは何なのか?
人々が気になるのは「人気のあるコードは何なのか?」という点かもしれませんが、Carlton氏によると楽曲で使われるコードは楽曲のキーに左右されるものであり、多くの楽曲データからコード単体での人気を割り出すことはあまり意味がないとのこと。そこでCarlton氏は、「人気のあるキー」についてのデータをグラフ化してまとめています。

以下の画像がビルボードにランクインしたポピュラー音楽から人気のあるキーを順に並べたもの。1位がC、2位がG、3位がEフラットとなっています。一般的にシャープフラットの少ないキーが好まれる傾向がありますが、フラットが3つあるEフラットが1つのフラットしかないFよりも人気であったり、2つのフラットしかないBフラットが全体の4%しか使われていなかったりと、必ずしも全てのキーに当てはまるものではないようです。


◆2:最も人気のあるコードは何なのか?
さまざまなキーで作られた楽曲をもとに人気のあるコードを選ぶことはあまり意味がありませんが、Carlton氏は「単一のキーで作られた楽曲を比較すれば人気のあるコードを調べられる」として、全ての楽曲をCのキーで置き換えて、直接人気のあるコードを比較できるようにしました。

その結果、人気のあるコードは以下のようなランキングになりました。Carlton氏の予想通り、Cのキーで書かれた場合はCメジャーの使用率が増えたことが確認できましたが、それ以上にGメジャーとFメジャーの登場頻度が高くなるという結果が判明。これら3つのコードに次いでAmコードが人気を誇っていますが、その後一気に使用率が激減していることがわかります。


「なぜAmはこれほどまで人気があるのに、Aメジャーは人気がないのか?」という疑問について、Carlton氏は音楽理論を用いて説明することもできると述べていますが、たとえ音楽理論を知らないとしても、統計をもとに自身の楽曲を改善することが可能だとしています。たとえば人気曲を分析した統計からいえば、「あなたの曲がCのキーで作られている場合、Aメジャーを使うことは賢明ではない」とCarlton氏は述べています。

また、Carlton氏はAppleのiOSアプリである「GarageBand」に用意されているギターコードについて、「確かにCのキーではBdimがダイアトニック・コードですが、人気曲の分析結果からするとDメジャーやEメジャーよりも一般的ではありません」と指摘しました。


◆3:Cのキーで作られた曲のうち、Eマイナーの次に来るコードとは何か?
Carlton氏の分析結果を用いれば、さまざまなコードが持つ相関関係についても分析することが可能です。何のコードについても「そのコードの次にくる頻度が高いコード」のグラフを示すことが可能ですが、たとえばCで書かれた曲の中で「Eマイナーの次に来る可能性が高いコード」についてCarlton氏は例示しています。

分析結果をグラフにまとめたものが以下の画像。Cのキーで作られた人気曲では、Eマイナーの次に来るコードはほとんど全てがFメジャーまたはAマイナーになっているとのこと。それ以外のコードが来る割合はわずか7%しかありません。


このようにポピュラー音楽を統計的に分析してみることで、人気曲のコード進行について、さまざまな興味深い事実が判明するようです。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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