レビュー

無料で「ディズニー風ゴッドファーザーのテーマ」などAIに曲の雰囲気を指示して簡単に作曲できる「MuseNet」を使ってみた


人工知能を研究する非営利団体OpenAIが、音楽のスタイルや使用する楽器を指定するだけで音楽を自動的に生成してくれる「MuseNet」を公開しました。「あまり高精度な文章を作成してしまうので世に放つのは危険すぎる」ともいわれたGPT-2と同じアルゴリズムを使用したこの深層学習システムは、ショパンやベートーベンなどのクラシック音楽から、フランク・シナトラやレディー・ガガの音楽スタイルまで網羅している守備範囲の広さが特徴的です。

MuseNet
https://openai.com/blog/musenet/

AIで音楽を生成するにはまず、上記URLにアクセスします。


トップページで公開されている「Samples」では、MuseNetが生成する音楽のサンプルを試聴することができます。例えば、「Prompt: Bon Jovi and the first 6 notes of Chopin Op. 27, No. 2」の再生ボタンをクリックすると……


曲の出だしはピアノのみで演奏されたショパンの夜想曲ですが、30秒を過ぎたあたりから使用する楽器が増えて曲調が変わりました。これは、ショパンの曲をテーマにしながらもピアノ・ドラム・ベース・ギターを使用してポップな曲を作るようMuseNetに指示した結果だとのこと。


それではさっそくMuseNetで曲を作ってみます。トップページをスクロールすると以下のような画面が現れました。デフォルトでは「モーツァルトのトルコ行進曲」を元に、ショパン風のスタイルで曲を作るようになっています。赤枠で囲った矢印のボタンをクリックすると……


10秒ほどで曲の続きが生成されました。


シーケンサーの部分を左にドラッグすると、途切れている右の方まで見ることができます。


再生ボタンをクリックするとAIが生成した音楽を聴くことができます。実際に再生してみると、スピーカーからはなんだかたどたどしくて不自然な感じの曲が流れてきました。


そこで、赤枠で囲ったボタンを押すと、別のパターンの曲に切り替えることができました。一度に生成される4パターンの曲を聴き比べて、好きな曲を選ぶことができます。


また、4パターンとも気に入らなければ、右下の「RESET」ボタンを押すことで改めて曲を生成させることもできます。


何回か試した結果、気に入った曲が生成できました。「DOWNLOAD」ボタンをクリックするとその曲をOgg形式でダウンロードすることができます。


というわけでできあがったのが、以下のムービーの曲です。出だしは「トルコ行進曲」ですがそれ以降違った曲に仕上がっています。ショパン風といわれればショパン風という気もしてきますが、音の幅にどうしても制限があるMIDIだからか、あまりよく分からないのが正直なところ。

AIが作曲する「MuseNet」で作った「モーツァルトの『トルコ行進曲』ショパン風」 - YouTube


次は、スタイルなどをもっと詳細に指摘して曲を作っていきます。「RESET」ボタンで曲を消してから、「SHOW ADVANCED SETTINGS」をクリックすると……


詳細を設定できる画面が出てきました。


「STYLE」の欄の「CHOPIN」をクリックすると、曲の雰囲気を選択することができます。


選択可能な曲の雰囲気は以下のとおり。
・「CHOPIN(ショパン)」
・「MOZART(モーツァルト)」
・「RACHMANINOFF(ラマニノフ)」
・「LADY GAGA(レディー・ガガ)」
・「COUNTRY(カントリー)」
・「DISNEY(ディズニー)」
・「JAZZ(ジャズ)」
・「BACH(バッハ)」
・「BEETHOVEN(ベートーベン)」
・「JOURNEY(ジャーニー)」
・「THE BEATLES(ビートルズ)」
・「VIDEO GAMES(ビデオゲーム風)」
・「BROADWAY(ミュージカル風)」
・「FRANK SINATRA(フランク・シナトラ)」
・「BLUEGRASS(ブルーグラス)」

「INTRO」の欄では、曲の出だしを選択できます。


選択できる曲の出だしのリストは以下のとおり。
・「NONE (イントロ無し、ゼロから作成) 」
・「MOZART'S RONDO ALLA TURCA(モーツァルトの『トルコ行進曲』)」
・「BEETHOVEN'S SYMPHONY NO. 5 (ベートーベンの交響曲第5番)」
・「LADY GAGA'S POKER FACE(レディー・ガガの『ポーカー・フェイス』)」
・「BEETHOVEN'S FOR ELISE(ベートーベンの『エリーゼのために』)
・「ADELE'S SOMEONE LIKE YOU(アデルの『Someone Like You』)」
・「JUSTIN TIMBERLAKE'S CRY ME A RIVER(ジャスティン・ティンバーレイクの『クライ・ミー・ア・リヴァー 』)」
・「LUIS FONSI'S DESPACITO(ルイス・フォンシの『DESPACITO』)」
・「FROZEN'S LET IT GO(映画『アナと雪の女王』の『レット・イット・ゴー』)」
・「THE GODFATHER THEME(映画『ゴッドファーザー』のテーマ)」
・「THE HARRY POTTER THEME(映画『ハリー・ポッター』のテーマ)」
・「THE PINK PANTHER THEME「アニメ『ピンクパンサー』のテーマ」
・「SILENT NIGHT(きよしこの夜)」

「INSTRUMENTS」では、生成する音楽に使用する楽器を選択できます。楽器は左から順に「ピアノ」「弦楽器」「管楽器」「ドラム」「ハープ」「ギター」「バス」です。ひとつだけ選択することも、すべての楽器を選択することもできます。


「NUMBER OF TOKENS」のスライドを左に動かすと曲が短くなり、右に動かすと曲が長くなります。


今回は「STYLE」を「DISNEY」にして……


「INTRO」を「THE GODFATHER THEME」に指定。


矢印のボタンをクリックして音楽の生成を開始します。


約30秒ほどで「THE GODFATHER THEME」の続きが生成されました。


MuseNetでは途中から曲のスタイルや使用する楽器を変えることもできます。「STYLE」は「LADY GAGA」にしてから、「INSTRUMENTS」で「STRINGS(弦楽器)」と「WINDS(管楽器)」をクリックして追加。もう一度矢印のボタンをクリックしてします。


以下のムービーを見ると、MuseNetで作成した「ディズニー&レディー・ガガ風ゴッドファーザーのテーマ」を聴くことができます。始終ゴッドファーザーのテーマのような感じですが、途中から曲調が変化しているのが確認できます。

「MuseNet」で「ディズニー&レディー・ガガ風ゴッドファーザーのテーマ」を作ってみた - YouTube


「MuseNet」は基本となる曲と、曲の雰囲気や使用する楽器を自由に組み合わせてAIに作曲させることができるウェブサービスで、作った曲をダウンロードすることも可能です。ただし、元となる曲と雰囲気などの組み合わせ次第ではたどたどしい曲になり、あまりの不自然さに「AIのクリエイティビティとは……」と驚くことも。2019年4月26日現在はまたプロトタイプだとのことなので、今後のアップデートに期待したいところです。

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in レビュー,   ウェブアプリ,   動画, Posted by log1l_ks

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