メモ

たとえ敵対するグループ同士でもオンラインで交流することが偏見をなくし社会的結束を強める


インターネットによって遠く離れた人同士がつながり合いを持てるようになりましたが、オンラインでの対話によって、激しく対立するグループ同士の問題を解決できるという研究結果が出ています。

PsycNET Record Display - PsycNET
http://psycnet.apa.org/record/2015-22397-001

How research is helping to reduce prejudice between people online
https://theconversation.com/how-research-is-helping-to-reduce-prejudice-between-people-online-106175

Pew Research Center の研究では、アメリカに住む成人の69%が少なくとも1つのソーシャルメディアサイトを利用していることがわかっており、2008年の21%から大幅に増加しているのが確認されています。また、オーストラリアでは人口の80%が何かしらのソーシャルメディアアカウントを取得しており、多くの人が1日に複数回アクセスしていることも判明しています。さらに、10代の若者の57%がオンライン上で新しい友達を作ったことがあるとの報告もあり、インターネットによって知らない人と出会うことは、ごく普通のことになっています。

自分と同じ考えや共通の趣味を持つ人との交流がインターネットで深まることは想像に難くありませんが、まったく主義主張や思想が違う人との交流が盛んになっていることも明らかになっています。Facebookは「Friends of World」と呼ばれるプロジェクトによって、イスラエルとパレスチナ、ロシアとウクライナ、インドとパキスタンという深く対立した国同士の人をオンライン上でつなぐ試みを行っており、Facebookによると24時間でイスラエル-パレスチナ間で20万以上の「友情」が誕生したとのこと。


対立するグループ間での接触が、相手グループへの態度を軟化させ感情を改善させられるとする「接触仮説」が心理学者のゴードン・オルポート氏によって出されています。相反する立場のグループも、互いに交流を深めることが関係を改善するのに有効だというのは、現実世界の直接的な交流だけでなく「インターネット上での交流でも成り立つ」という研究成果が出てきています。

オーストラリアのラ・ドローブ大学のアブレイヤ・ヒシャム博士の研究チームは、「オンラインでのやり取りが多様なグループ間の関係を改善できるか?」というテーマを掲げて、異なるグループに所属する2人が個人間でチャットできるオンラインプログラム「E-contact」を使って、対立グループ間での交流について調査しました。E-contactでは、ホスト役が利害関係の事実を交換してくれ、知り合うことを手助けしてくれます。その後、オンラインで知り合った2人は、共通のタスクを行い目標達成することが求められました。なお、ホスト役は2人が協調して仕事をするようにアドバイスするなどのサポート役として関与したそうです。


10年近く続けられたE-contact実験では、北アイルランドのカトリックとプロテスタント、同性愛者と異性愛者、ムスリムとカトリックなど、対立しがちなグループに所属するメンバー同士の交流が試みられた結果、いずれのケースでもオンラインでの交流が相手グループに対する偏見をなくし、社会的な結びつきを強めることがわかったとのこと。オンラインでも接触効果は発揮されるというわけです。


互いに相いれない主張を持つ対立グループのメンバーとインターネットを通じて出会うことで、相手との敵対的な関係を改善できることがわかりましたが、見知らぬ人とのオンラインでの交流は「出会い系サイト」に代表される通りネガティブな印象を持たれがちなため、今後は、多様なグループ間で安全な形でオンラインで交流できるツールの開発が望まれているとのこと。仮想現実(VR)や各超現実(AR)などの新しい技術はその解決策になる可能性も指摘されています。

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in メモ,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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