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「直感」は信じるべき時と信じるべきでない時が存在する、「信じるべき時」が満たす3条件とは?

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行動経済学の創始者の1人であり幸福研究の分野でも知られるダニエル・カーネマン氏は2002年にノーベル経済学賞を受賞した人物。意思決定や認知バイアスなどについて多くの発表を行ってきたカーネマン氏が、「直感」によって下された判断のうち、信頼すべきものと信頼すべきでないものの違いを説明しています。

Daniel Kahneman: Your Intuition Is Wrong, Unless These 3 Conditions Are Met | ThinkAdvisor
https://www.thinkadvisor.com/2018/11/16/daniel-kahneman-do-not-trust-your-intuition-even-f/

ニューヨークで行われたワールド・ビジネス・フォーラムでカーネマン氏は、「人が自分の直感的な判断をしてよい時」と「直感的な判断には慎重になるべき時」について説明しました。カーネマン氏によると、「直感」の定義は「なぜ知っているのかは分からないが知っていること」とのこと。統計などに基づかないため、この定義に従えば直感は正しいことも間違っていることもあり得ます。

直感は間違っていることがしばしばあります。カーネマン氏は以前、「ジュリー」という人物の大学のGPAを被験者に予想してもらうという実験を行ったそうです。カーネマン氏は被験者に対し、ジュリーは若い頃から本をよく読んだという事実だけを伝え、その後、ジュリーがどのくらいよい生徒だったかを評価してもらいました。この結果、多くの被験者はジュリーのGPAを3.7だと評価したとのこと。

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「この答えを『いい答えだ』と考えるかもしれませんが、実は最悪な答えなのです。直感に答えは完全な間違いでした。統計的に評価を行っていったら全く異なる評価になったでしょう。人々が与えられたのは、20年後、生徒がどうなるのかということに関する情報では全くありませんでした」とカーネマン氏は述べ、これが「自動的に出される直感には大きな自信が伴うが、統計的には間違っている」ということを示す例だとしています。

通常、自信は正確性を示すものとはいえません。しかし、直感が正しいというケースも存在します。カーネマン氏は、熟練したチェスプレイヤーがボードを見た時に得る直感、あるいは既婚者が電話越しに夫や妻が発した単語1つで機嫌を推測するような直感は、多くの場合、正しいものとなると説明。「直感を信用できるケース」と「直感を信用できないケース」が存在し、信用できるケースには以下3つの条件がそろっているといいます。

1:客観的かつ学習可能な規則性があること
2:これまでに何度も経験を積んでいること
3:直感が正しかったのか間違っていたのか、ただちにフィードバックが得られること

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上記の3つの条件がそろっていれば、人は「直感」を熟達させることが可能。ただし。この3条件が満たされない限り、どんなに自信があってもその直感の正しさは保証されないものであるとのことです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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