サイエンス

「質問に答えるまでに間がある人は不誠実だとみなされてしまう」という研究結果


「返答に窮する」という言葉があるように、人はやましい点を指摘されると質問に答えるまでに間が空いてしまうことがあります。アメリカ心理学会誌に掲載された新たな論文は、「人は返答に数秒遅れただけでも不誠実だとみなされてしまう」と示唆しています。

Slow lies: Response delays promote perceptions of insincerity. - PsycNET
https://doi.org/10.1037/pspa0000250

(PDF) Slow lies: Response delays promote perceptions of insincerity
https://www.researchgate.net/publication/349362220_Slow_lies_Response_delays_promote_perceptions_of_insincerity

Answer quickly to be believed | EurekAlert! Science News
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-02/apa-aqt021121.php

This Is What Pausing Before You Answer Says About You, According to Psychologists
https://www.sciencealert.com/a-slower-response-makes-you-come-across-more-insincere-psychologists-say

会話相手の受け取る誠実性は返答速度に大きな影響を受けていると新たに発表したのは、フランスのグルノーブル経営学院に所属するIgnazio Ziano氏とシンガポールのジェームス・クック大学に所属するDeming Wang氏。両氏は返答速度が誠実性の判断に及ぼす影響を調査するため、オンラインで集められたアメリカ・フランス・イギリスの被験者約7500人を対象に、「質問を受けた人物の誠実性を独断で決めてもらう」という実験を行いました。

各被験者には、「ある人物が特定の事柄に対する質問を受け、その質問に回答する」という内容のビデオ・音声記録・文章がそれぞれ割り当てられました。被験者に割り当てられた素材は「質問内容」と「返答速度」がそれぞれ異なっており、質問内容については「1:友人が作ったケーキが美味しかったかどうかについて質問される」「2:職場で発生した犯罪について質問される」という2つのパターンがあり、返答速度については「0秒遅れ(即時返答)」から「10秒遅れ」までのさまざまなパターンがありました。


実験の結果、被験者は質問内容や返答内容にかかわらず、返答の遅延を不誠実だとみなすという傾向が存在し、わずか2秒の返答遅延であっても不誠実だと解釈される場合さえあったとのこと。ただし、返答の遅延があまり不誠実だとみなされないケースも複数確認されており、「友人のケーキはあまり美味しくなかった」という社会的に望ましくない回答を行った場合や、「10年前にキャンディーを盗んだかどうかを考える」といった回答を考えるために精神的な努力が必要な質問の場合は返答速度はそれほど重要視されなかったとのこと。

論文の筆頭著者であるZiano氏は今回の調査結果について、「我々は交流しているときに常に互いの誠実さを判断しています」と指摘。今回の調査結果が、就職面接や法廷審問などの重要な場面ですら回答内容ではなく返答速度に重きを置かれてしまう可能性を示唆していると言及しています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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