炎上・爆発なんでもあり、15分間に25個の化学実験を詰め込んだ衝撃のプレゼンTEDxムービー
化学とは物質が別の物質や状態へと変化する反応を研究する学問で、物が燃えたり、色が変わったりするのは全て化学で説明することができます。そんな化学の実験を15分間に25個も詰め込んだ科学者の衝撃のプレゼンムービーがTEDxで公開されています。
25 Chemistry Experiments in 15 Minutes | Andrew Szydlo | TEDxNewcastle - YouTube
実験を披露したのは、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのアンドリュー・シドゥウォ博士。ポーランドにルーツを持つイギリス人のシドゥウォ氏は、科学史および科学哲学における博士号を取得している科学者で、型破りな実験の様子を披露してくれています。
◆実験1~4:「フラスコの液体の色が変わる」
「化学とは、物質が他の物質に変わる様子についての学問である。よくあるケースでは、このように色が変わることで物質の変化がわかる」と語るシドゥウォ氏。フェノールフタレイン溶液のアルカリ反応などでしょうか、透明だった液体をピンク色に替え(1)、次に透明に戻し(2)、今度は濃い目の赤色に変え(3)、最後に再び透明に戻しています(4)。
◆実験5~9:「今度はビーカーの液体の色が変わる」
次は、さらに透明だった液体をさらに鮮やかな色に変えています。使われている物質は不明ですが、手前から黄色(5)、オレンジ色(6)、ワイン色(7)、白色(8)、そして水色(9)の液体ができあがりました。
◆実験10:「浴びても濡れない液体」
次は、液体窒素を使った実験。保温ビンから液体窒素をビーカーに注ぎ……
「えいやっ」とばかりに頭上にまき散らします。
するともちろん液体窒素はシドゥウォ氏めがけて落ちてきて、「ビシャッ」という音をたてて頭や服を直撃。しかしシドゥウォ氏が全くぬれているように見えない(10)のは、液体窒素はセ氏マイナス196度で気化するために、常温だとあっという間に蒸発して消えてしまうためです。
◆実験11~13:「物質は気化する時に体積が膨張する」
次は、液体窒素が沸騰して気体になる際に、体積が大きく膨張することを示す実験。液体水素をPETボトルに入れ……
しっかりとフタを閉めます。このボトルを3本用意。
そしてフタを閉めたボトルを3つのブリキのゴミ箱の中へ別々に投入。常温に置かれた液体窒素は温められてどんどんと気化するため、PETボトルの中の圧力はどんどんと高まります。その様子を見せるため、シドゥウォ氏は「PETボトルを爆発させる」という手段を選択したのですが、そのまま爆発させるとさすがに危険と判断したのか、ゴミ箱の中で爆発させることでその威力を見せてくれます。その実際の様子はもう少し後で。
◆実験14~16:「物質の三態、固体・液体・気体」
PETボトルがキンキンに膨らんで爆発するまでの間、シドゥウォ氏は次の実験へ。まずはビーカーに普通の水を注ぎ……
その上から液体窒素を注ぎ入れました。ビーカーの中では約20度の水とマイナス196度の液体窒素が触れる状態になり、水は凍り始め、液体窒素は沸騰し始めます。つまり、このビーカーの中には液体の状態にある物質(14)と、氷という固体の物質(15)、そして蒸発して気体にある物質(16)という三つの状態にある物質が一度に存在しているというわけです。
◆実験17:「柔らかかったゴムもカチカチになる」
物質は凍ると固体になりますが、これは液体に限ったことではありません。シドゥウォ氏が取り出したのは、こんな風にビヨーンと伸びるゴムのチューブ。
液体窒素が入った保温ビンにゴムチューブを入れて凍らそうとしている時に……
「バン!」と大きな音を立てて、立て続けに3本のPETボトルが爆発。これで物質は気体に変わる時に体積が大きく膨張することが示されました。カウントの方法が裏技っぽい気もしますが、これで(11)(12)(13)の実験が完了。
ゴムチューブの方に目を戻すと、液体窒素に浸されたことでこんなふうにカチンカチンに(17)。いわゆる「バナナで釘が打てる」の状態です。このまま思いきり机にたたきつけると、ゴムなのにポキンと折れてしまいました。
◆実験18:「水が凍った時も体積は膨張する」
物体は気化する時に膨張する実験が上で示されましたが、水は凍って固体になる時に体積が大きくなります。「実験14~16」で液体窒素を注がれた水は急速に冷やされて凍り、体積が大きくなったことでビーカーが「ピシッ」と割れてしまいました(18)。シドゥウォ氏が指に持っているのが、割れて落ちたビーカーの破片です。
◆実験19~20:「気体は冷やされると体積が減少し、温められると体積が増える」
次にシドゥウォ氏が取り出したのは、空気が入れられた大きな風船。
風船の上から、液体窒素をドバドバと注ぐシドゥウォ氏。すると……
先ほどまでパンパンになっていた風船が、みるみるうちにしぼんでしまいました。
すっかり変わり果ててシワシワになってしまった風船。しかし、常温にしばらくさらしておくと……
なんと数秒で、すっかり元どおりの風船に。このように、液体窒素で風船全体を冷やすと内部の空気が冷やされて収縮して風船がしぼみ(19)、再び温めると元の体積に戻ることがわかりました(20)。
◆実験21:「物質は燃える」
シドゥウォ氏がペンチに挟んで持っているのは、ごく普通の綿。
綿に火をつけると、メラメラと火を上げて燃えてしまいました。「燃える」という現象は、化学的には「急激な酸化」と表されます。
燃焼は、酸素を供給されることで激しさが増します。次にシドゥウォ氏が取り出したのは、化学的に酸素を浸透させた綿。
この綿を火に近づけると……
まばゆい光とともに「シュバッ」と音を立て、綿は一瞬で燃え尽きてしまいました。
◆実験22:「急激な燃焼でピンポン球を発射」
物質が急激に燃焼する時には、高い圧力が生じます。シドゥウォ氏は、金属製の細い筒と少量の火薬、そして4つのピンポン球を用意し、筒の中に入れていきます。
砲身の底の導火線に火をつけると……
「ボシュッ」と音を立ててピンポン球が発射されました(22)。筒からは、火薬の急激な燃焼で生じた炎が吹き出しています。
◆実験23:「水素が入った風船に火をつけると燃える」
いよいよ実験が佳境に差し掛かり、プレゼンの持ち時間が少なくなってきたシドゥウォ氏には焦りの色が。水素が入っている赤い風船に火を近づけると……
「ボフッ」という音を立てて、水素が一瞬で燃焼しました(23)。
◆実験24:水素と酸素をミックスして入れた風船に火をつけると爆発する
先ほどの綿と同じように、水素も酸素を与えられることで激しく燃焼します。青い方の風船には水素と酸素をミックスした気体が入っており、ここに火を近づけると……
「バーン!」と大きな音を立てて爆発しました(24)。観客からは悲鳴と笑いが混じった歓声がおこります。
◆実験25:衝撃のエンディング
そしてプレゼンはついに最終章へ。最後は、最も大きな燃焼(爆発)で大団円を迎えます。筒を半分にした容器の中に、先ほど使った綿を敷き、その上から火薬をまぶすシドゥウォ氏。
そして、火のついたトーチを近づけると……
「カッ」と閃光が走り、今回のプレゼンで一番大きな音を立てて大爆発(25)。
「15分で25の実験」をやり遂げたシドゥウォ氏。聴衆席から大きな歓声と拍手が鳴りやまない状態でプレゼンは終了しました。
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