ハードウェア

暑い晴れた日に電源なしでも気温より大幅に低い温度まで冷却可能な装置をMITの研究者が開発

by Bikram Bhatia

冷蔵庫の中には、放射冷却を利用することで電気の力なしでも中のものを冷やせる「非電化冷蔵庫」があります。MITが作った「非電化冷蔵庫」は、理論上、周辺温度よりも20度低い状態での「冷蔵」が可能だそうです。

Passive directional sub-ambient daytime radiative cooling | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-018-07293-9


A new way to provide cooling without power | MIT News
http://news.mit.edu/2018/device-provides-cooling-without-power-1128

放射冷却でものを冷やすという発想は決して新しいものではなく、夜間の冷却にはよく利用されてきましたが、太陽光による加熱効果は放射冷却による冷却効果の10倍以上という強さなので、昼間の冷却に利用するには難がありました。


そこで、これまでも昼間に放射冷却をうまく活用する仕組みが考えられてきましたが、多くは、太陽光のほぼすべての波長を反射した上で、中赤外線として熱を放射するような設計が行われた結果、選択的反射と放射のために層の厚さに数ナノメートルの精度が求められるような多層材料が必要で、製造費用が高くつくという欠点がありました。

今回、MITの研究チームは、赤外線が直線的に進むものであること、防ぐことは簡単であることから、装置の周囲を日傘のような断熱材で覆うというアナログな方法で問題をクリアしました。このおかげで、装置の素材はプラスチックのフィルムや磨いたアルミニウム、白い塗料、断熱材などで済み、かなり安価に作ることができました。

by Vincent Branciforti

研究チームによると、理論上の冷却性能は「周辺温度マイナス20度」で、コンセプトモデルでは「周辺温度マイナス6度」を達成しているとのこと。このシステムだけでは十分な冷却ができなくても、他のシステムと組み合わせることで、負荷を減らすことは可能だとみられています。

チームでは、装置の断熱性をさらに向上させ、熱の放散能力を落とさないようにするため、赤外線透過性の絶縁材を見つけることが課題だそうです。

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in ハードウェア, Posted by logc_nt

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