「Googleのおかげでテロリスト扱いされた」との訴えに対してGoogleは約60万円の和解金で解決
Googleから請け負った業務によってテロリスト扱いされた男性がGoogleの不十分な対応に対して抗議していた件に対して、Googleはこの人物との契約を解除して4000ポンド(約58万円)を支払っていたことが報じられています。
Google settled racism case from contractor 'treated like a terrorist' | Technology | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2018/nov/25/google-settled-racism-case-from-contractor-treated-like-a-terrorist
被害を訴えていたのは、イギリスに住むAhmed Rashid(仮名)という男性。名前からわかるとおり、Rashid氏はアラブ系のルーツを持つ人物で、モロッコに由来する家系の育ちです。
Rashid氏はGoogleと契約するコントラクターとして、イギリスの各地にあるショッピングモールで各テナントが設置しているWi-Fiの電波の強度を計測する業務にあたっていたとのこと。これは、建物内などGPSが届かない場所でもWi-Fiの電波をもとにGoogleマップの位置情報を正しく取得できるようにするためのもので、業務の際には数名が一つのチームとなり、スマートフォンとノートPCをもってモールの中を行ったり来たりする作業が発生します。
業務にあたり、Rashid氏は施設に対してGoogleの業務として店を訪れていることを明かしてはいけないという口外禁止条項を結ばされており、たとえ警備スタッフに声をかけられたとしても行為の内容を正直に説明することはできなかったそうです。そのため、Rashid氏は複数のショッピングモールで警備員に呼び止められ、その度に疑いをかけられる状況に追い込まれたとのこと。Rashid氏はその件をGoogleに報告していたものの、Google側はそれに対応することはなかったといいます。
この問題には、Rashid氏がアラブ系のルーツを持つことが大きく関わっているとのこと。Rashid氏と一緒のチームで業務にあたっていたある男性は、自分はまったく警備員から声をかけられなかったと語るのですが、それはこの男性が白人であることと無関係ではないと考えられています。
複数の人物がショッピングモール内でスマートフォンとノートPCを持ち、同じ場所を何度も行ったり来たりする様子はあまり一般的なものではありません。そこで「私たちはGoogleの委託を受けて調査を行っています」と説明できれば良かったのですが、Rashid氏によるとその説明を行うことは禁止されており、さらに、Rashid氏がアラブ系のルーツを持つことが明白な状態であったことから、店舗の中にはRashid氏らを「テロリストでは」と疑うケースも出てきたとのこと。
By Jobs For Felons Hub
しかしこれはRashid氏らを警戒する警備スタッフの判断が誤っていたのではなく、その疑いに対して満足な説明ができない状況が作られていたことが最大の問題点といえるはず。Rashid氏はGoogleに対し、自身がGoogleの関係者であることを示すバッジの支給を求めていましたが、Googleはこれを拒否。そして2017年9月26日、ロンドン郊外のラムフォードにあるショッピングセンターで警備員に呼び止められ、取り調べを受けたことをGoogleに報告したRashid氏は、その日のうちにGoogleから契約を解除されてしまったそうです。
Rashid氏は契約解除に伴いGoogleから4000ポンド(約58万円)を受け取り、この件に関する口外禁止条項にサインをしていたとのこと。しかし、セクハラ問題を中心としたGoogle社内の大規模ストライキ運動が起こったことをきっかけに、自分も声を挙げることに決めたとthe Guardianに対して胸の内を語っています。
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この件に対してGoogleは金銭の支払いは認めたうえで、間違った行動は取っていないとコメント。声明の中でGoogleの広報担当者は「全ての従業員および請負業者には、関わっているプロジェクトおよびその役目に対して明確なガイドラインが示されており、Googleの依頼を受けて業務を行っていることを正直に説明するように指示を行っている」と述べているとのことです。
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