人類最古の最大約5万2000年前に描かれた動物画がインドネシア・ボルネオ島の洞窟にあったという調査結果
人類の祖先が洞窟の壁に描いた壁画としてはフランスのラスコーの壁画や、スペインのアルタミラ洞窟壁画などがよく知られています。それらの壁画は約1万年~1万8000年前のものであると考えられているのですが、インドネシアのボルネオ島に多数存在する洞窟に描かれた動物の壁画は、最高で約5万2000年前に描かれた「人類最古の動物画」であるという調査結果が明らかにされました。
Palaeolithic cave art in Borneo | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0679-9
'Oldest animal painting' discovered in Borneo - BBC News
https://www.bbc.com/news/science-environment-46114423
壁画は、インドネシアのボルネオ島に位置する東カリマンタン州の洞窟の中で2014年に見つかっていたもの。この地域には古い洞窟がたくさん存在しており、その多くで壁画が見つかっているそうです。
以下の画像に写っているのが、壁に描かれた「絵画」の姿。この状態では何が描かれているのかをすぐに見分けることは容易ではありませんが、特徴的な体の形状から、この地域にいまでも生息している野牛「バンテン」であると考えられているとのこと。さらに、右上の部分には人の手を置いて塗料を吹き付けることで手の形を表した模様を確認できます。
絵画だけを抽出するとこんな様子の模様が浮かび上がります。丸みを帯びて大きな体と短めの脚を持つ動物の体の側面には、槍のような棒が刺さったように見える部分も。また、手の形をかたどった模様が残されているのですが、これらの模様が描かれた時代は数万年レベルで違っていることが明らかにされています。
赤とオレンジの中間ぐらいの色で描かれた動物は、酸化鉄をベースにした塗料で描かれたものだとのこと。放射線の強さを基に時代を測定するウラン-トリウム法によってそれぞれの模様が描かれた時代を調べると、バンテンとみられる動物の画に使われた塗料は少なくとも4万年前、最大で5万2000年前に使われたものであることがわかったそうです。また、手の模様に使われている紫色の塗料などは1万6000年~2万1000年前のものであることがわかっています。
手が描かれた時代の塗料は、このような人をかたどった模様を描く際にも用いられているとのこと。この、描く対象が「動物から人へ」と変化する流れは、ヨーロッパなどで見つかっている壁画と同じパターンであり、考古学者の関心を引きつけています。
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