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「全世界の成人のうち4分の1以上が運動不足」という研究結果

by bruce mars

十分な運動を行うことは健康維持のために必要であり、運動不足は肥満や生活習慣病のリスクを高めてしまうことが知られています。一方で、運動したくてもやる気や時間が足りないといった理由から、思うように運動できない人が多いのも事実。世界保健機関(WHO)は、「全世界のうち4分の1以上の成人は、健康維持のために十分な運動を行っていない」という研究結果を発表しました。

Worldwide trends in insufficient physical activity from 2001 to 2016: a pooled analysis of 358 population-based surveys with 1·9 million participants - The Lancet Global Health
https://www.thelancet.com/journals/langlo/article/PIIS2214-109X(18)30357-7/fulltext

A Quarter of Adults Don't Get Enough Exercise, Study Says | Time
http://time.com/5387221/who-physical-inactivity-report/

WHOは健康を維持するための運動量を、「適度な運動を週に150分」または「激しい運動を週に75分」としています。ところが、WHOの研究チームによって行われて医学誌の「The Lancet Global Health」に発表された研究によれば、全世界の成人のうち27.5%もの人々は健康を維持するために必要な運動をしていないとのこと。

2001年に行われた行われた研究では、実に全世界の28.5%の人々が運動不足であると報告されており、数値的には若干改善しているといえます。一方でWHOは、「十分な運動は健康と寿命を改善するのに効果的であり、生活習慣病にも有効な手段であることから、世界的な運動不足の改善は緊急の課題です」と主張しています。運動不足はさまざまな病気のリスクを上昇させることから、全世界では実に14億人以上もの成人が、運動不足によるリスクを抱えている状態です。

研究チームは前回の研究が発表された2001年から2016年にかけて、全世界168カ国を対象に行われた358の研究をもとに、190万人ものデータを調査しました。ここで得られたデータは、低所得層の多い国よりも高所得層が多い国のほうがより多かったとのことですが、研究チームは「全世界の96%の人口をカバーすることができた」と述べています。調査では被験者に対して仕事・家事・移動・余暇といった日々の活動の中で、いったいどれほどの運動をしたのかを尋ねました。

by mgstanton

その結果研究チームは、「国によって運動量には大きな差が出ている」ということを確認しました。たとえば東アフリカのウガンダでは、運動量不足の人はわずか5.5%しか認められませんでしたが、中東のクウェートでは、実に67%もの人々が運動不足に分類されるとのこと。

大きな傾向を見ると、高所得国のほうが低所得国よりも運動不足になりがちであり、産業が発達して生活が便利になるほど人は運動しなくなってしまうようです。2001年から2016年の研究期間中、高所得の西洋諸国では運動不足の人の割合が31%から37%まで上昇しましたが、低所得国ではおよそ16%程度で安定していました。


WHOはこうした傾向に対し、「高所得国は国民が余暇にウォーキングやサイクリングといった運動を行うよう、積極的に促していく必要があります」と語っています。個人に任せた運動不足改善には限界があるため、国家の政策としてレクリエーションやスポーツへの参加を促進するべきだとのこと。

すでに国家的に運動不足改善の取り組みを行っている国々は、東アジアや東南アジアにおいて好結果を残しています。これらの国々は、余暇に運動することへの熱意を高めるプロモーションを行っている他、中国では公園でのレクリエーションを促したりしているそうです。国家的な取り組みによる影響で、2001年には26%もあった運動が不足する人の割合が、2016年には17%にまで減少しているとのこと。こういった取り組みは仕事や移動での運動量が多く、余暇での運動量が少ない国々で有効になります。

by Haste LeArt V.

また、研究チームは運動量に男女の格差があることを発見しました。世界的に見ると、成人男性のうち25.5%が運動不足である一方、運動不足の女性は31%となっているそうです。以下の画像が、世界における運動不足の男性の割合を表した地図。


一方、以下が運動不足の女性の割合を表した地図です。見比べると運動不足の女性を表した地図には赤っぽい箇所が多く、確かに女性のほうが運動不足であることがわかります。研究チームは男女間で運動量に違いが出てしまう理由として、国によっては男女で生活の役割や余暇の過ごし方が分けられており、男性と比較して仕事や余暇における運動量が減っている点が挙げられるとのこと。また、女性が活発に運動すること自体に危険が伴うといった、安全上の理由も考えられます。


WHOは2025年までに、運動不足の人々の割合を10%減少させることを目標にしています。この目標を達成するためには、国家的な政策の導入に加え、男女間の格差を是正することも必要になるだろうとWHOは述べています。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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