取材

「ハンモック付きでのびのびした刑務所」「ビンゴは遊びじゃない」など沈みゆく島と呼ばれるツバルを歩き回ってわかった10個のこと


海抜が3メートルを越える土地はほとんどなく、海面上昇により、数十年後には物理的に消滅するのではないか?といわれているツバル。アクセスの悪さから観光客もほとんど訪れないというツバルに行ってみて、インターネットの限られた情報ではわからなかったことがたくさんあったので、まとめてみました。

◆01:刑務所がのびのびしている
ツバルは首都フナフティの人口は5000~6000人と言われており、小さな国ですが刑務所はちゃんと存在します。

奥に見える建物が刑務所。


ブロック塀が立てられていますが……


フェンスのみの部分もあり。隣では鶏が放し飼いされており、「刑務所」という言葉の響きに反して穏やかな雰囲気です。


「TUVALU PRISON」という木製の看板が立てられていました。


フェンスに近づくと、建物の中から男性がやってきました。ポーズを決めてくれた2人は看守ではなくて囚人です。基本的にツバルの治安は「日本以上によい」と言われており、刑務所に入っている人は酔っ払ってケンカを起こした人などが多いそうです。2018年7月時点で9人が収容されており、「フィジーの刑務所は厳しすぎる」として移送されてきた人もいるとのこと。


建物はこんな感じで……


庭にはハンモック完備。看守は1日のうち数時間しか刑務所におらず、囚人たちはのびのび過ごせる様子。


午後には囚人たちがフェンスの外に出て……


ヤシの樹液を採取。


樹液はそのままジュースとして飲めるとのことでした。「飲んでみる?」と聞かれたので「欲しい!」と伝えると、建物の中からこし器を取ってきてくれ、樹液をこしてくれました。どこまでもフレンドリーで親切です。


なお、囚人たちは奉仕活動を行うため外に出ることもありますが、仲良さそうにおしゃべりしながら看守とバイクに2人乗りしている様子も見かけられました。


◆02:空港の滑走路は運動場である
ツバルには国際空港が1つあり、週に数回、飛行機が離着陸を行います。日本からはフィジーを経由する必要があり、フィジーとツバルを結ぶ便は火曜・木曜・土曜の週3回。

Post from RICOH THETA. - Spherical Image - RICOH THETA


あまり頻繁に滑走路が使われない、ということで、朝方や夕方の時間帯は、この滑走路は運動場と化します。滑走路でサッカーの準備運動を行っている人々をドローンで空撮したムービーは以下から。

ツバル・フナフチ国際空港の滑走路でラグビーが行われている様子はこんな感じ - YouTube


また空港の施設は普段、公会堂のような感じで使われていて、さまざまなワークショップが開かれていました。


ワークショップでは以下のような感じで食事も振る舞われています。

「ツバルめし」がワークショップで振るまわれる様子 - YouTube


◆03:意外に「ツバルは沈まない」と思っている人も多い
ツバルは海抜が最高でも5メートルと低く、海面上昇が起これば国そのものの存在が脅かされることになります。「地球温暖化の影響で、数十年後には沈むのでは?」とも言われていますが、実際にツバルに住む人々に質問してみると、意外にも「沈むと思う」派と「沈まないと思う」派で別れました。

ツバル住民11人(男性5人、女性6人)に質問したところ、「沈むと思う」派が5人、「信じない」派が4人、「わからない」が2人という結果に。

「沈むと思う」と答えた人の1人が、刑務所の看守さん。子どもの頃からずっとツバルで暮らす看守さんは、子どもの頃にはなかった激しい台風が近年はツバルを襲っていることを挙げて、「明らかに気候が変わってきている」と語りました。


また、「科学データが出ている」ことを理由に「沈むと思う」と語った人も。屋台でご飯を食べていた男性と女性も、「科学者がそう言っていた」と「沈むと思う」理由について語ってくれました。


一方で、写真に写る男性は「ツバルの人はあまり信じていないと思う」との意見。ツバルはオーストラリアとニュージーランドに環境難民としての受け入れ要請を行っており、ニュージーランドは年間75人の労働移民の受け入れを約束していますが、実際には「みんな沈むと思っていないから、移り住む人は多くない」とのこと。


写真に写っている姉妹は、19歳の妹さんは「沈むと思う」とのことですが、22歳の姉は「沈まないと思う」と語り、姉妹で意見が分かれていました。


さらに、滑走路の真横にあるホテル「Filamona Hotel」のスタッフの女性は、「海面レベルは上がったり下がったりしているし、潮位の記録を取りだしたのは最近のこと。多少の変動はこれまでもあったかもしれない」と語り、「沈まないと思う」とコメントしていました。

◆04:夜な夜な開かれるガチビンゴ大会
娯楽施設のほとんどないツバルですが、夜の楽しみとしてビンゴ大会が開かれるとのことだったので行ってみました。


カウンターでお金を払い、カードを購入します。


ビンゴカードはこんな感じで、数字がずらっと並んでいます。手前のチップを読み上げられた番号の上にのせていく仕組み。


ビンゴ大会というと、町内会で開かれ、参加者がわいわいしながら楽しむ、というイメージですが、ツバルのビンゴ大会はシーンとしています。


みんな鬼気迫る勢いで真剣です。


女性が淡々と番号を読み上げ……


黙々とビンゴカードの番号の上にプラスチックのコインが置かれていきます。


ちなみに景品はオモチャでも家電でもなく、現金。その場でキャッシュバックされる仕組みという、シビアな世界でした。


◆05:日本製の車が多い
公共交通機関というものがないので、移動するには歩くか、バイクあるいは自転車を使う必要があります。ということでテクテク歩いていると……


「左に曲がります、ご注意ください」というアナウンスが。あまりに慣れ親しんだアナウンスだったので、最初はここがツバルということを忘れて普通に受け入れてしまっていました。

ツバルで聞こえた「左に曲がります、ご注意ください」のアナウンス - YouTube


また、歩いていると見知らぬ人が親切にも「送ってあげるよ!」と声を掛けてくれたので、車に乗ってみると……


点検のシールが。日本の中古車はかなり多い印象です。


また、消防車も見慣れたISUZU製。


ただし「パトカーは中国製だよ!」とのこと。


また、漁師として働く男性が多く、「漁師として日本に行ったことがあるよ」という人にも何人か出会いました。観光地でもないツバルで「こんにちは!」「お元気ですか!」という日本語を聞けるとは思っていませんでした。


なお、「OMUSUBI」も普通に売られていました。スパムのようなものを使ったおむすびはご飯をのりで巻いており、どこからも異論はでないであろう、ザ・おむすびでした。


◆06:Wi-Fiは3.3Kbps
絶海の孤島であるツバルですが、衛星によるインターネットサービスが提供されているので、実はスマートフォンやPCが使えます。Androidに至っては4Gが利用できますが……


ホテルなどの有料Wi-Fiサービスは回線速度が非常に遅く、夜だと3.3Kbps。LINEでテキストメッセージを送るのにも数分を要しました。諦めてネットの存在しない、古きよき世界を満喫するのがよさそうです。


◆07:小学校から大学まである
ツバルは島の端から端まで歩いて移動できてしまうほど小さな島ですが、小学校から大学まで存在します。これが南太平洋大学のツバルキャンパス。


小学校はこんな感じ。


教室で勉強する子どもたち。小学校では英語が必須のようで、ツバル語だけでなく英語も公用語とされており、就学している子どもであればみんな英語が通じました。


学校近くの商店では、学生たちがおやつを食べたりおしゃべりしたり。


◆08:日中の海では誰も泳がない
ツバルは紫外線が日本の17倍とも言われており、とにかく日差しが強烈。絵の具で塗りたくったような空の青さです。


なので、海はきれいなのですが、暑すぎて日中に泳ぐ人はほとんどおらず。


いたとしても、日傘を持っての水浴びでした。


◆09:レストランは中華が中心で葉物野菜は貴重
ツバル オーバービューによると、ツバルの中でも離島においてはお米・小麦粉・砂糖などを除いて地産地消を行うことが可能ですが、首都のフナフティは人口の集中や塩害などの理由により、地産地消が難しくなっているとのこと。

そのため、多くの食料が輸入に頼っており、スーパーを覗いても生鮮食材はほとんどなく、パッケージの輸入食品がずらりと並びます。


ツバルに滞在していると、つい食生活が偏りがちになるといえますが、そんな時に利用できるレストランも数件存在します。最も有名なのは中華レストランの「3 T's Funafuti」で、トリップアドバイザーに登録されているのは、ここ1件のみ。


野菜たっぷりのメニューもあります。このほか、別の中華料理屋さん1件と、ホテルについているレストラン、ビーチの横に小さなカフェがありました。


中華料理屋さんで使っているような野菜も輸入しているのか?と思いきや、島には野菜の栽培所もありました。


◆10:みんな笑顔でフレンドリー
ツバルを歩き回って感じたのは、信じられないくらいに人がフレンドリーだということ。道を歩いているだけで車やバイクに乗った人に「どこに行くの?乗せていってあげる!」と声を掛けられたり……


家にいる人に道を尋ねたら……


「朝ごはん食べていく?」とごちそうになったり。


見知らぬ外国人相手に、子どもも大人もみんな笑顔であいさつを交わしてくれます。


そしてイライラしている雰囲気の人もいません。平日の朝8時頃に散歩したところ、ワイワイと楽しそうな声が響いていたので見に行ったところ……


ボードゲームを行っていました。


指でプラスチックのプレートをはじいて四隅の穴に入れる、というビリヤードのような遊びでした。2人とも大はしゃぎで、朝8時のテンションとは思えないほど。1日の始まりをこんなにハッピーな気持ちで過ごせたらとてもいいな!と見ている方まで気分が上昇しました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ツバルに生きる人々の声をGoogle Earth上にマッピングした「Tuvalu Visualization Project」 - GIGAZINE

温暖化で海面上昇するとどこが水没するのかがわかる地図「Global Sea Level Rise Map」 - GIGAZINE

滑走路の真横にあり飛行機の離着陸の突風を感じるホテル「Filamona Hotel」レビュー - GIGAZINE

成田空港からフィジー・ナンディ空港までの直行便が9年ぶりに復活したので乗ってみました - GIGAZINE

トンガ、フィジー、バヌアツ、ソロモン諸島、南太平洋の島国に楽園を見た - GIGAZINE

in 取材,   動画, Posted by logq_fa

You can read the machine translated English article here.