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半導体ファブGlobalFoundriesが7nmプロセスを全部中止へ方針転換


AMDから派生した半導体ファウンドリ大手のGlobalFoundriesが、7nmプロセスでの製造をすべてやめる方針に変更しました。ライバルのSamsungやTSMCとのシュリンク(微細化)競争を一時中止した背景には、GlobalFoundriesの収益面での課題があるようです。

GlobalFoundries Stops All 7nm Development: Opts To Focus on Specialized Processes
https://www.anandtech.com/show/13277/globalfoundries-stops-all-7nm-development

GlobalFoundriesは2018年第4四半期(10月から12月)に7nmプロセスを使った最初のチップをリリースする予定でしたが、最先端技術の開発を中止し7nmプロセスの製造名称である「7LP」による半導体製造を中止することに決めました。GlobalFoundriesは最先端の7nmプロセスを中止して、代わりに14nmや12nmプロセスをベースにしたチップの製造に専念する予定で、この方針転換にともなって全体の5%にあたる従業員を削減することになりました。


GlobalFoundriesのゲイリー・パットンCTOによると、「7nmプロセスからの撤退は技術的な問題ではない」とのこと。すでに7nmプロセスでの製造技術の開発は完了し、2018年前半に少量ロットによるリスク生産も行われており、2018年内に大量生産に入るのみでしたが、すべての予定は撤回されました。必然的に、7nmプロセスの先の技術である5nmプロセス、3nmプロセスの開発についても制限がかかっており、GlobalFoundriesはロードマップの見直しを行うはずだとみられています。


GlobalFoundriesの生産計画の見直しは、経済的な問題だとのこと。元CEOのダグ・グロース氏に課せられた使命は、売り上げを増やし、会社全体を合理化し、ロードマップを確実に実行することでした。グロース氏はライバルのSamsungから14nmプロセス技術のライセンスを購入して生産の効率化を進め売り上げを増やすことには成功しましたが、赤字体質は変わりませんでした。


そして次世代半導体製造でライバルとなるSamsungとTSMCに対抗するために、IBMから知的財産と開発チームを獲得し、7nmプロセス開発に数十億ドル(数千億円)の投資を行ってきました。しかし、記事作成時点でGlobalFoundriesが保有する最先端のファブはたった1つだとのこと。EUVを使用する最先端の半導体製造設備は開発コストが非常に高く、比較的小規模のファブでも10億ドル(約1100億円)、大規模なファブだと20億ドル(約2200億円)もの追加の設備投資が必要で、この巨額の費用を回収するためには大量の半導体チップを製造することが必要となります。


現時点で赤字状況から脱せない中で、大量の製造が前提で回収の見込みが確実とはいえない新規の設備投資を株主であるアブダビの政府系ファンドのMubadala Developmentは望んでおらず、まずは赤字を止めて利益を生み出すべきだという圧力が強まっていたとのこと。こうして、過去10年間に200億ドル(約2200億円)もの投資を行ってきた態勢を改めるべく、GlobalFoundriesは既存の14nmプロセス、12nmプロセスの技術改良という方向に舵を切ったそうです。なお、改良型の14nm/12nmプロセスでは主に新興国向けの特別な半導体を製造することで、SamsungやTSMCとの直接的な競争を避けられるとAnandTechは述べています。


・おまけ
次期マイクロアーキテクチャ「Zen 2」で7nmプロセスの製造を予定しているAMDは、高性能なCPUおよび新GPU「Navi」はすべてTSMCで製造する予定だと発表しました。

AMD Corporate: Expanding our High-Performance L... | Community
https://community.amd.com/community/amd-corporate/blog/2018/08/27/expanding-our-high-performance-leadership-with-focused-7nm-development


AMDによるとTSMCの7nmプロセスでの製造は極めて良好だとのこと。Zen 2は予定通り2019年に発売される見込みです。AMDは7nmノードで開発する幅広い製品をTSMCで集中的に製造する方針を明らかにしましたが、GlobalFoundriesとのパートナーシップは継続するとのこと。GlobalFoundriesのニューヨークファブを活用して14nm/12nmプロセスのRyzen、Radeon、EPYCなどの既存の半導体チップの製造を行う予定だそうです。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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