トランプ支持の陰謀論者「Q」にハッカー集団Anonymous(アノニマス)が宣戦布告

アメリカでドナルド・トランプ大統領を「影の支配者層からの解放を目指す救世主」としてたたえる陰謀論者の「Q」なる人物が大きな影響力を持ち始めています。トランプ支持者からも厚い支持を集めつつあるQに対して、ハッカー集団「Anonymous(アノニマス)」が、もはや看過できないと宣戦布告をしています。

Anonymous Challenges QAnon And The LARP Falls To Shambles
https://www.activistpost.com/2018/08/anonymous-challenges-qanon-and-the-larp-falls-to-shambles.html

アメリカでは「Q」と名乗る匿名のユーザーが、陰謀論を唱えています。この陰謀論の種類は多いのですが、骨子となるのは「アメリカ(をはじめとする世界)はDeep State(闇の国家)と呼ばれるエリート層に支配されている」ことと、「それを救うのがドナルド・トランプ大統領だ」という2つの説です。

Qによる匿名情報は、以下のページにまとめられています。

Q
https://qanon.app/

またQの主張は、以下のムービーを見れば一発で理解できます。なおムービーは日本語字幕付きです。

Q - The Plan To Save The World (Subtitles) - YouTube

「大統領を含むアメリカの中枢や金融などの経済界はすべてDeep Stateが操っており、ジョン・F・ケネディはこれに立ち向かおうとして暗殺された」「ブッシュやオバマも傀儡(かいらい)で、トランプが大統領に当選したとたんDeep Stateは子飼いのメディアを使って一斉攻撃を始めた」というのがQの主張ですが、それを裏付ける証拠などを一つも明らかにしていないというのが大きな特徴です。

しかし、最近、アメリカではトランプ大統領の支持者の中に「QAnon(Qアノン)」を自認する人が増えています。QAnonとは「Q」＋「Anonymous(匿名の)」の造語で、陰謀論を唱える「Q」を支持する人たちを表す言葉。Qは「トランプ大統領はDeep Stateに立ち向かう愛国者だ」と主張しており、そのせいかトランプ支持者の中にはQの主張を支持する人が続出中だとのこと。

ペンシルバニア州で「We Are Q」のTシャツを掲げるトランプ支持者

ロシアゲート問題で、モラー特別検察官の厳しい追求を受けて追い込まれつつあるトランプ大統領ですが、QAnonは「モラー特別検察官は、実はトランプ大統領と一芝居を売って、極秘に政府関係者の児童買春問題を調べている」という独自説を信じており、トランプ大統領への支持はさらに強固なものになっているそうです。

アメリカではQAnonが増えている現状を憂慮する識者は多いようですが、荒唐無稽だと批判すればするほど、QAnonは「影で世界を牛耳るエリート層にはだまされない」とかたくなになり結束を強めるという構図がある模様。そんな中、インターネット上で多数のハッカーが手を組んで組織される「Anonymous」が、これ以上Qのふるまいを許さないとの意思をTwitter上で明らかにしました。

なお、Anonymousのこれまでの活動は、以下の記事で確認できます。

パリ同時多発テロのISISに宣戦布告したアノニマスが「ISISハッキングガイド」を公開 - GIGAZINE

アノニマスのハッカー集団がDDoS攻撃「イカルス作戦」を実行して世界中の銀行をダウンさせていることが判明、今後の標的リストも明らかに - GIGAZINE

AnonymousによるQに対する宣戦布告の様子は、以下のムービーで確認できます。

Anonymous Operation QAnon - YouTube

Anonymousによると、「Qは批判的な目で考える能力のない人をたぶらかしている」とのこと。

AnonymousはQを黙らせるために、まずはQの正体を突き止めるべく調査行動を開始しているとのこと。Qとしての活動を始めたのは誰か、現在もQの活動を行っているのは誰かを突き止めることがQを黙らせる方法とばかりに、インターネット上で壮大な犯人探しが始まっています。ちなみにQAnonの主張では「ケネディ元大統領の長男で飛行機事故で死んだとされるジョン・F・ケネディ・ジュニアは実は生きており、その人こそがQだ」という説が根強く信じられているそうです。