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500億円以上の価値がある美術品を81分で美術館から盗みだした泥棒の手口とは?


1990年3月18日の深夜、ボストンにあるイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館に2人組の男たちが押し入り、展示されていた美術品13点を盗み出しました。わずか81分間の犯行で盗まれた美術品の価値は、総額およそ5億ドル(約550億円)以上になるとされており、事件から28年が経過しても犯人は捕まっておらず美術品の行方も不明です。そんな歴史に残る美術品強盗事件について解説したムービーが、YouTubeに公開されています。

How 2 Guys Stole $500 Million of Art in 81 Minutes


イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館で発生した強盗事件は、世界的に見てもまれなほど高額の被害を出した強盗劇でした。


この強盗劇では、2人組の強盗がわずか81分間で総額500億円以上もの美術品を盗み出しました。そして、事件発生後30年近くが経過しても犯人が逮捕されず美術品の行方もわからず、未解決のままとなっています。


一体どのようにして2人は強盗を成功させたのでしょうか。


1990年3月18日の深夜0時ごろ、1台の車がイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館の横門近くに停車しました。


車の中には警察の制服を身につけた2人の男がいて、2人は車を美術館の近くに停車させてから1時間近くも車の中で待機していたとのこと。


当時、美術館の中には2人の警備員がおり……


そのうちの片方はリチャード・アバス氏という名前の男性警備員でした。アバス氏は普段から深夜の警備中、酔った状態で仕事をすることもあったと後に認めていますが、「強盗があった当夜はしらふだった」と主張しています。


午前1時24分、警察の制服を着た2人の男が入り口のドアを通して「通報を受けて駆けつけたので、エントランスに入れてくれ」と主張し、フロントデスクにいたアバス氏が2人に対応しました。


美術館の規則によれば、深夜に予定のない訪問者を招き入れることは禁止されていましたが、アバス氏はその規則が警察にも適用されるのかどうか知りませんでした。また、事件当日はアイルランド系移民の多いボストンで盛大に祝われる「聖パトリックの祝日」の深夜であり、美術館の付近でも複数のパーティーが行われていたとのこと。そんな騒がしい深夜に「緊急通報があった」という2人の主張はもっともらしいものであり、アバス氏はその言葉を疑うこともなく2人を美術館内に入れてしまいました。


そして難なく2人は美術館内に侵入。2人はアバス氏と話したあと……


「令状がある」と言ってアバス氏を非常通報用のボタンがあるデスクから離れた場所まで連れて行き、身分証明書などを確認し、手錠でアバス氏を拘束してしまったとのこと。


そのころ、もう1人の警備員もアバス氏らのもとへ駆けつけました。


2人はもう1人の警備員も拘束しましたが、警備員2人はこの時になってもうまく事態を飲み込めていなかった様子。「一体なぜ、自分たちは拘束されているんですか?」と警察の制服を着た2人に尋ねたそうです。


そこでようやく2人の男らは自身が強盗であることを告げ、ダクトテープで警備員の動きを封じて地下室に監禁しました。


自由になった2人の強盗は美術館内を探索し、展示されている美術品を壁から取り外して運び出しました。美術品を取り外す前に、2人は警報が鳴らないように警報をオフにするなど、窃盗の心得があったとのこと。


美術館には動作探知機が仕掛けられていたため、2人の動きはほぼ全て追跡されていました。


ところが、動作探知機は怪しい動きを検出して美術館内の警備員に伝え、警備員が非常通報用ボタンを押して外部の警察を呼ぶというシステムになっていたそうです。


そのため、この時完全に無力化されていた警備員は警察を呼ぶことができず、2人の泥棒は悠々と美術品を盗み出すことができました。


結局、2人の泥棒はレンブラントの絵画3点、ドガの絵画5点、フェルメールの絵画1点、古代中国の杯、ナポレオンの軍旗の先についていたタカの彫刻などを含む計13点の美術品を、2回にわけて車に積み込んで逃走しました。


中でもフェルメールの「合奏」は時価2億ドル(約220億円)以上の価値があるとされており、泥棒によって盗み出された絵画の中で最高額だとのこと。


結局、2人の泥棒は550億円以上の価値がある美術品を盗みだし、美術品の行方は記事作成時点でも不明のままです。


警察が事件を把握したのは翌日の午前8時30分になってからで、アメリカの警察もこの史上まれに見る強盗劇の捜査に多くの力を注ぎました。


捜査の過程で、いくつかの奇妙な事実が明らかになりました。その一つが、2人組の男がドアから入ってくる30分ほど前に、警備員のアバス氏が横門を一瞬だけ開けて、その後すぐに閉じたという事実です。


横門のあたりには2人組の男が車を止めていたはずですが、アバス氏は「ちゃんとロックされているかどうかを確かめただけ」と主張しています。


また、美術品が盗まれた1階のあるエリアだけ、強盗の動きを検知する動作探知機が作動しませんでした。この場所には、強盗が美術館に入る前にアバス氏が立ち寄っていたとのこと。


加えて、強盗はマスクをかぶっていなかったにもかかわらず、アバス氏は「2人の特徴を何も覚えていない」と述べています。


さらに、2015年には強盗前日の夜に記録された監視カメラの映像には、横門の付近でアバス氏が謎の人物と会話しているシーンが記録されていました。アバス氏は当時のことを「覚えていない」と語り、謎の人物の正体は不明のままです。


また、強盗が盗み出していった美術品のチョイスにも謎が残っているとのこと。


イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館にはラファエロボッティチェッリなど、この事件で盗まれた絵画よりも価値のある絵画が展示されていました。しかし、強盗はこれらの絵画も非常に盗みやすい場所にあったにもかかわらず、手を付けませんでした。


この点から、「犯人は美術に関して詳しくなかったのではないか」といった説も出ています。


いくつかの証拠や不審な点が見つかっているものの、これまでに犯人の直接的な手がかりは入手できていないとのこと。美術館は美術品が返ってくることを願っており、犯人につながる手がかりを提供してくれた人物には1000万ドル(約11億円)の報奨金を出すとしています。


強盗の後でイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館は警備を強化したそうですが、時すでに遅しということになってしまいました。

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in 動画,   アート, Posted by log1h_ik

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