サイエンス

威圧的なロボットに監視されることでも人の集中力はアップすることが判明


作業を行う時に誰かが後ろに立っていると緊張感が増し、普段よりも集中力がアップした経験がある人も多いはず。その効果は人間だけではなく、少し威圧的な態度を示すロボットが立っている時にも生じることが研究により明らかにされています。

Not as bad as it seems: When the presence of a threatening humanoid robot improves human performance | Science Robotics
http://robotics.sciencemag.org/content/3/21/eaat5843

Being watched by a cranky robot might help you focus | Science | AAAS
http://www.sciencemag.org/news/2018/08/being-watched-cranky-robot-might-help-you-focus

この研究はフランスやスイスの科学者による研究チームによって実施されたもの。「良いロボット」と「悪いロボット」のいずれかに見られながら作業することによる影響が、以下のムービーで解説されています。

Being watched by a cranky robot might help you focus - YouTube


誰かに監視されながら仕事をすると、「見られている」という感覚により作業に集中せざるを得ない状況が作り出されます。これと同じことがロボットに見られているときにも生じるのか、実験が行われました。


実験には58人の被験者が参加し、画面に映し出された文字の色を答えるというタスクが与えられました。この時、以下の画像のように赤色で「BLUE」と書かれた文字を見て「赤色」と答えなければならないのですが、単語は「青色」を意味しているために頭の中で混乱が生じます。これはストループ効果と呼ばれ、文字の意味と文字色という2つの情報が脳内で干渉し合うという現象。きちんと答えるためには高い集中力が必要とされるため、今回の実験の課題として選ばれています。


また、実験を行う際にはロボットの頭や目を動かして「本当に見られている」という様子が伝わるようにセッティングされていたそうです。


実験に先立ち、被験者にはロボットと触れ合う時間が与えられました。被験者はロボットに対して質問を行うのですが、この時ロボットは2つのモードに設定されていました。片方は、フレンドリーで前向きな内容を答えるようにセッティングされたロボットで……


もう片方は、不快感を与え、ネガティブな内容を答えるロボットだったとのこと。


ロボットの素性を把握した状態で被験者は与えられたタスクを実行。すると結果は、威圧的な態度を示すロボットに見られている被験者のグループの方が、もう一方のグループや一人だけで作業を行ったグループよりもタスクを終了させるのに要した時間が短かったそうです。一方の友好的なロボットのグループでは、作業時間の短縮は見られなかったそうです。


これまでの研究では、好戦的な人物に見られていると人間の集中力が向上することがわかっていました。


今回の研究で注目すべきポイントは、ロボットの場合にもそれと同じことがいえるという結果が明らかにされた所にあります。


今後、ロボットは高齢者の介護やセラピーなどに活用されることが予想されています。その際に、意図されなかった影響が人間の感情や考え方に及ぶ可能性がある、ということを理解しておくことは重要であるといえそうです。

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in ハードウェア,   サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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