ジョブズ、ウォズニアックに続くApple創業時の「第3の男」の知られざる人生とは？

Appleがアメリカ史上で初めて時価総額1兆ドル(約110兆円)の企業になりましたが、そのApple創業時に、スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックとともに創業メンバーとして名前を連ねた男「ロナルド・ウェイン」氏がいます。2人の巨人の陰に隠れた知られざるApple第3の創業者が今どこで何をしているのかを、CBS Evening Newsが追跡調査しています。

Jobs, Wozniak -- and Wayne? What happened to the third co-founder of Apple - CBS News
https://www.cbsnews.com/news/ronald-wayne-apples-third-co-founder-where-is-he-now/

Apple(Apple Computer)は、スティーブ・ウォズニアックとスティーブ・ジョブズの二人が創業したことは有名な話です。

しかし、この二人の巨人の他に、3人目の創業者がいたことはそれほど知られていません。

この第3の男こそロナルド・ウェイン氏であり、Apple創業時の契約書(創業文書)にもウォズニアック、ジョブズに続いて連名しています。

ウェイン氏は創業時のAppleの企業ロゴをデザインした人物でもあります。

この人がウェイン氏。

ウェイン氏は、Apple創業時に10％分の株を分けてもらったとのこと。

ジョブズとウォズニアックが株式の45％ずつを保有し、タイブレーカーとしての役割を与えられたウェイン氏が残りの10％を保有することになったそうです。

今や1兆ドル企業となったAppleの10％の株は、単純計算で1000億ドル(約11兆円)という価値にあたります。

Apple株の10％を保有していたウェイン氏の自宅をCBS Evening Newsが尋ねることになりました。

シリコンバレーとは離れたネバダ州パールプルンにある質素なウェイン氏の自宅。

Apple創業メンバーに名を連ねたウェイン氏でしたが、なんと創業から12日後にAppleを退社したとのこと。

「たった12日ですか？1兆ドル企業のAppleをたった12日で辞めた！？」とインタビュアーが驚くのも無理ありません。

ウェイン氏はジョブズとウォズニアックという二人の巨人の陰にいることは創業時点で感じていたとのこと。

そして、Appleにいる限り、巨人の陰にいる限り、自分が本当にやりたいことは一切できなくなることを悟ったそうです。

ウェイン氏が「本当にやりたかったこと」とは、スロットマシーンの設計、切手の取り扱い、古い銃の収集など。

本当にやりたいことをするためにウェイン氏は1976年にApple株10％を2300ドル(当時のレートで約67万円)で手放しAppleを去りました。金銭的には大きな「損」をしたウェイン氏ですが、「代わりに楽しいことはやれた」と語っています。

Apple創業者の証でもある創業文書。しかし、この書面は本物ではなくコピーだとのこと。

ウェイン氏は1990年代に創業文書をたった500ドル(当時のレートで約7万円)で売り払ってしまったそうで、このことを今では後悔しているそうです。ちなみにウェイン氏が売ったApple創業文書は2011年にオークションにかけられて130万ドル(約1億4000万円)で落札されています。

インタビュアーが「よく見ると、あなたの周りにはApple製品がありませんね？」と気づきました。

ウェイン氏はApple製品を使っておらず、iPhoneすら持っていないとのこと。

Apple創業文書を手放して、Apple創業時の第3の男としての証を失ってしまったウェイン氏ですが、Apple創業メンバーとしてデザインしたAppleの企業ロゴのスケッチの本物だけは今もなお保有しているそうです。