誰かを好きになったとき、人の体内では何が起こっているのか?
「恋は盲目」ということわざの通り、人は恋に落ちると理性や常識を失いがちだといわれています。実際に、人が誰かに恋を抱き愛するようになると、その人の体内ではさまざまな変化が起こり、通常とは全く違う精神状態になることが多くの研究から判明しています。恋に落ちた時にどんな変化・反応が起こるのか、海外のビジネスメディア・Business Insiderがまとめています。
7 physical and psychological changes that happen when you fall in love | Business Insider
https://www.businessinsider.com.au/falling-in-love-changes-your-body-and-brain-2018-7
◆1:血圧が低下する
血圧が高くなると、心臓発作・脳卒中・腎不全などのリスクが高まる危険があります。適度な運動や健康的な食生活によって血圧を下げることは可能ですが、人を愛することも血圧を下げるための手法として役立つかもしれないと近年の研究で指摘されています。例えば、アメリカ保健福祉省が2017年に結婚の有無と身体的健康・寿命の関係について(PDF)調査したところ、結婚している人は血圧が比較的低く、心臓・血管の疾患リスクが低いと判明しました。また、アメリカ心臓病学会の報告から、50歳未満の夫婦は独身と比較して血管疾患のリスクが12%低いことがわかっていて、人を愛することに血圧を下げる効果が期待されています。
◆2:物理的接触によってホルモンが分泌される
ハーバード大学医学部の研究論文では、恋人との抱擁・キス・セックスなど物理的接触によって、別名「愛情ホルモン」とも呼ばれるオキシトシンの分泌量が増えると報告されています。オキシトシンが分泌されます。オキシトシンは社会的に人とつながり合っているときにも分泌されるホルモンで、逃走欲や恐怖心を減少させます。恋人を抱きしめ、キスすることでパートナーへの愛が深まり、満足感・落ち着き・安心感が生まれます。
◆3:ストレスからの影響が変化する
2004年に発表された研究では、恋に落ちたばかりの新しいカップルでは、ストレスに大きく関わるホルモンであるコルチゾールの分泌量が正常なレベルと比べて増加していたとのこと。そしてそのまま12~24カ月後に再び同じカップルを対象に検査したところ、コルチゾールの量は正常に戻っていたそうです。これは、人は付き合い始めて1~2年はストレスの影響を受けやすい状態になるということを示しています。
◆4:内臓への影響
コルチゾールのレベルが上昇すると、ストレスからの影響を受けやすくなります。急性ストレス反応(戦うか逃げるか反応)を見せます。この反応によって心拍や発汗量が上がり、胃や腸などの消化機能が阻害され、血糖値の上昇・脂肪の燃焼が促進されます。精神科医で脳神経学者であるダニエル・エイメン教授は「大脳辺縁系が活発になると、脳から腸へ向かう迷走神経が活性化されます。この神経が刺激されると腸など消化器官に影響が現れます」と語っています。
◆5:脳が快感を得る
恋に落ちると、中枢神経系の神経伝達物質であるドーパミンが分泌されます。(PDF)2005年に発表された研究では、誰かに恋をしていると自覚している被験者17人に対してロマンチックに愛されている人の写真を見せたところ、脳内のドーパミンを分泌する2つの領域の活動が活発になったことが明らかになっています。ドーパミンが分泌されると脳の働きが活発となり、学習能力やモチベーションが向上し、一定の快楽を得られます。
◆6:痛みを和らげる
恋に落ちることで、痛みが軽減されるという性質が確認されています。2010年に発表された研究では、付き合ったばかりの新しいカップルのや脊髄の血流動態反応ををfMRIでスキャンしたところ、脳内の報酬系の神経回路が活発になっていることが判明しました。研究に関わったショーン・マッケイ氏は「熱烈な愛を感じている段階にいるとき、人は気分が大きく変化し、痛みに対する感覚が大きな影響を受けている」と語っています。
◆7:愛の中毒症状
人を愛することで中枢神経でドーパミンが放出され、脳の報酬系が活発になるということは、愛には中毒性がある可能性も考えられています。実際に中枢神経におけるドーパミンの放出と、オルガズムによるオキシトシンとセロトニンの上昇は筋肉の弛緩を生み、さらなる性的欲求を生んでいると考えられています。2005年に発表された研究では、人が誰かを熱烈に愛する時、薬物依存症の人と同じ領域の神経で反応が確認されたと報告されています。2017年の研究によると、人は愛によって一時的に満足されますが、長時間愛による満足が得られなければ注意力・集中力が散漫すると報告されています。ただし、世界保健機関(WHO)の疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)には愛の中毒性は認められていないとのことです。
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