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Core i9搭載のMacBook Proは「CPU本来の性能を引き出せない」と酷評される

By Mashable

2018年7月12日に発表されたMacBook Proの2018年モデルには、Intelの第8世代プロセッサである6コアのCore i7が標準搭載され、オプションでさらに高性能のCore i9にスペックアップすることが可能です。実際にMacBook ProのCore i9モデルを購入したというYouTuberのデイブ・リーさんですが、いろいろ使ってみたところ「MacBook Proの排熱構造に問題があるせいで、Core i9が持つ本来の性能どころか、ベースクロックすら維持できない」ことが明らかになっています。

Apple's New i9 MacBook Pro Runs so Hot It Has to Slow Down - Motherboard
https://motherboard.vice.com/en_us/article/a3qewe/apples-i9-macbooks-run-so-hot-they-have-to-slow-down

実際にリーさんがYouTubeで公開しているMacBook Pro 2018年モデルのレビューは以下のムービーで確認することができます。

MacBook Pro 15 (2018) - Beware the Core i9 - YouTube


「MacBook ProのIntel第8世代CPU搭載モデルが発表されたので、早速購入しました」と語るのがYouTuberのリーさんです。左にあるのがMacBook ProのCore i7搭載モデル、右にあるのがCore i9搭載モデルです。


「Apple製品だから高いというのも当然ありますが、Core i9モデルは非常に高価です」と語り、Core i9に変更するだけで300ドル(約33000円)を追加で支払うことにためらいを覚える人が多いはずだとしています。


「ストレージやメモリまで最高の構成を選択すれば、とんでもない金額になってしまいます。しかし、適度に標準的な構成をキープすれば、価格は高いままですが割と妥当な金額となるはずです」


「では、2018年モデルで大きく変わったCPUを見ていきましょう。Core i9はCPU単体で見れば非常に高速です。特にマルチスレッド処理(マルチコアを使った処理)に特化したアプリケーションであれば、モンスター級の性能を発揮します」


「しかし、MacBook Proの筐体はCPUの冷却が全く追いつかないという問題を抱えています」


「実際にMacBook Proで動画編集ソフトのAdobe Premiereでレンダリングを行って、クロック周波数の状態をチェックしてみました。すると、Core i9のベースクロックは2.9GHzなのですが、周波数(Frequency)の3.0GHz付近を維持できていませんでした。それどころか、クロック周波数が上がったり、下がったりと波打っており、周波数が全く安定していないこともわかります」


「GIGABYTE AERO 15Xのように、冷却が適切に行えている端末では、ここまで不安定になることはありません。実際に上部の周波数の波形は非常に安定しており、下部の温度についても、先ほどのMacBook Proでは温度が91度となっていましたが、AERO 15Xでは86度となっており、ある程度低い値でキープできています」


「つまり、このMacBook ProのCore i9モデルは排熱がうまくできておらず、その結果として、IntelのCoreシリーズが持つ、クロック周波数をオーバークロックさせるTurbo Boostはおろか、ベースクロックですら維持できていません。正直、製品としてはありえないです」


「本来、この筐体に搭載されているCore i9は4.8GHzまでオーバークロック可能ですが、この製品では全て無駄になっています」


「どれだけ性能が低下しているかは実際のレンダリングにかかった時間を見ると明らかです」


以下のグラフはMacBook ProのCore i7搭載モデルとCore i9モデル、(Core i7搭載の)AERO 15Xのレンダリング時間を比較したものです。リーさんは「Adobe PremiereはWindowsに最適化されているため、AERO 15Xが圧倒的に早くなるのは仕方ないので説明は割愛します。MacBook Proだけで比較すると、本来高性能なはずのMacBook Pro Core i9搭載モデルの方が処理が遅くなっています」と語っています。


「ちなみに冷凍庫にCore i9搭載モデルを放り込んでみると……」


「レンダリング時間が大幅に改善しました。正直ここまでひどいと、ばかばかしくて擁護なんてできません」


「本来、このような製品は販売してはいけないと思います。実際多くの人はCore i9モデルを『性能が高い』と思って買うわけですし、私もYouTubeにムービーを投稿している関係上、動画編集などで高スペックの端末が必要です。しかし、排熱の問題でここまで性能が低下してしまうのは、詐欺に等しいレベルです」


「CPUはここまでにして、次にGPUを見てみます。MacBook Proの2018年モデルには、Radeon Pro 560Xが搭載されていて、2016年モデルや2017年モデルより高性能なものが搭載されていますが……」


「ゲームを行うにはあまり優れた性能とは言えません。ゲームを楽しむには、Bootcampを使ってMacBook ProにWindowsをインストールするか、外付けのGPUを接続する必要があります」


「次にディスプレイを見てみます。MacBook Proの2018年モデルのディスプレイにはTrue Toneが採用されていて、環境光に合わせて、適切で見やすい色合いに変化してくれます。わかりにくい変更点ではありますが、これは良いものです」


「キーボードは第3世代のバタフライキーボードを採用しています。個人的な感想ですが、第1世代と第2世代のものと打鍵感は変わらない印象です。万人向けのキーボードであるとは決して言えませんが、使っているうちに慣れるはずです」


「各キーの下にはシリコン製の薄膜が貼られていて、これまで問題となっていたキーボードの欠陥問題が改善すると思われます」


「メモリは32GBまで搭載可能となっています。また、DDR4となったことで、わずかに消費電力が高くなりました」


「これを補うため、MacBook Proのバッテリーサイズがわずかに大きくなっています。この結果、実際のバッテリー駆動時間は8時間であり、前モデルから変わっていません」


「SSDは非常に高速になっています。現時点で販売されているノートPCの中で最速ではないかと思います」


リーさんは「総評として言えば、MacBook Proの2018年モデルは『良くない』としか言えません。私はmacOSが好きですし、MacBookのデザインも大好きなので、排熱問題さえなければ、私のお気に入りになっていたことでしょう」と語っています。また、ブランド問題にも関わるとして「『MacBook Pro』という名前で販売するからには最新のパーツを何でもかんでも載せようとするのではなく、プロ仕様として恥じない内容にしなければなりません」とリーさんが指摘していました。

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in ソフトウェア,   ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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