異色ベンチャーキャピタルの社長が語る「成功するCEOに求められるもの」とは?
by perzon seo
スタートアップ企業に対して投資を行い高いリターンを狙うベンチャーキャピタルの中で、「Yコンビネータ」は創業間もないスタートアップに重点的に資金を投下し、他のベンチャーキャピタルからも投資を受けられるようにレクチャーしている異色の存在です。そんなYコンビネータの社長を務めるサム・アルトマン氏が、起業家で投資家でもあるエラッド・ギル氏から、「成功するCEO(最高経営責任者)とはなんなのか?」という問題についてインタビューを受けた際のやり取りが公開されました。
Interview with Sam Altman from The High Growth Handbook
https://blog.ycombinator.com/interview-with-sam-altman-from-the-high-growth-handbook/
ギル氏は「High Growth Handbook」というスタートアップ起業家へ成長戦略をレクチャーする本を出版しており、本の中にはシリコンバレー経営者や成功したスタートアップ企業に対するインタビューが収録されています。ギル氏はそのインタビューの一環として、Yコンビネータの社長であるアルトマン氏にもインタビューを行いました。
ベンチャーキャピタルの社長として数々のCEOと面会してきたアルトマン氏に対し、ギル氏は「成功するCEOにとって、重要な要素は何でしょうか?また、失敗するスタートアップのCEOに共通する間違いなどがあれば、教えて下さい」と質問。それを受けたアルトマン氏は、「CEOは会社が何をするべきかを決定し、成功に導く役割を担っています。ところが、多くのCEOは副社長やCCO(コンテンツ責任者)などを雇い、それらの役割を外部委託しようとしています」と答えました。
アルトマン氏によれば、CEOにはCEOにしかできない仕事がたくさんあり、スタートアップが多少拡大した程度で主要なCEOの業務を外部委託するのは賢明ではないとのこと。中でも、スタートアップ企業に対する資金調達の依頼は、資本家はCEOと話すことを望んでいることがほとんどであるため、CEOが直々に投資家と話してこそ成功するものだとアルトマン氏は語ります。
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また、CEOの仕事が華々しいものだという考えは間違いであり、実際には同じ仕事の繰り返しがCEOの役割のほとんどを占めるとアルトマン氏は述べました。CEOは従業員・マスコミ・顧客に対して、「自分たちのやりたいことの内容、なぜ自分たちがそれをやりたいのかという理由、どのようにそれをやるのかという方法」について、繰り返し訴えることが必要だとのこと。アルトマン氏によれば、CEOの仕事の大部分を占めるのは関係者とのコミュニケーション、そして会社のビジョンを伝達することだそうです。
ギル氏は「スタートアップが順調に成功していくと、それにつれてやるべきことが非常に増えていきます」と述べ、多くのCEOは自社の成功に従って抱える仕事が増えていくと語りました。CEOは販売計画の構造化、顧客サポートや例外的な事項への対処など、緊急でやるべき多くのプロセスに時間が取られてしまいます。ギル氏は緊急でやるべきことが多すぎて、はじめに描いていた長期的な計画に目を向けられなくなってしまうCEOがいるとして、このようなケースではどのように対処するべきかを質問しました。
すると、アルトマン氏は「CEOはどの問題に時間をかけて対処するべきで、どの問題には自分が対処しなくてもいいかを判断する必要があります」と答えました。アルトマン氏が見てきた多くのCEOは自社の給与体系にあまり関与していませんでしたが、成果を上げた従業員に対して適切な報酬を与えるようにすることは、スタートアップの成長にとても重要だとアルトマン氏は考えています。加えて、どれだけ忙しくても、会社が開発する製品の状況をCEOが把握できない状況は好ましくないともアルトマン氏は語っています。
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重要でない物事に注力していた例として、アルトマン氏はYコンビネータが投資を行ったあるスタートアップ企業のCEOを挙げました。そのCEOは74人の投資家から資金提供を受けており、「自分は投資家から監査要求があったとき、すぐに監査を受け入れて説明を行いました。これほど迅速に対応したCEOはいないと言われました」とアルトマン氏に誇ったそうです。このCEOに対してアルトマン氏は、会社が厳しい状況にあることにこそ目を向けるべきで、投資家が求めているのは監査要求への迅速な対応ではなく、利益を上げて投資家にリターンを提供することだと忠告したとのこと。
本当に重要なこととそうでないことの区別がついていない場合、CEOは重要度の低い案件を処理したことで満足感を得てしまいがちだとアルトマン氏は指摘。そうならないためにも、「自分が注力するべき課題は何なのか?」という点を自問し、明確にしていくことが大切だとアルトマン氏は述べました。
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また、アルトマン氏は会社の取締役会といった会議において、CEOが「実は……」とそれまで隠していた不都合な事実を話し始めることは避けるべきだと主張しています。なぜなら、取締役会のメンバーはCEOに隠し事をされるのを嫌っているからだとのこと。
他にも多くの人が参加する会議で「会社の状況がよくないのだが、どうしたらいいだろうか?」と意見を求めることも、CEOに強いリーダーシップを求める人々からの評価が下がるため、避けるべきだとしています。周囲の助言が欲しい場合には、会議の前に少人数で「会議の前に、この問題について話し合いたい」と持ちかけるのがベストだとアルトマン氏は語っています。
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最後にギル氏は、「スタートアップを拡大させたいと思っているCEOに、何かアドバイスはありますか?」とアルトマン氏に質問しました。アルトマン氏は「スタートアップが行き詰まったとき、相談できる人間が必要です。それが社内にいる人間だろうと、外部の個人的な知り合いであろうと、同じ志を共有する信頼できる人間を見つけ出し、困ったときにはアドバイスをもらえる関係を築くことが大事だと思います」と答えました。
アルトマン氏の場合、別のスタートアップでCEOを務めた友人がYコンビネータの取締役会メンバーに入っていたので、月に1度は夕食会を開いてアドバイスをもらっていたそうです。
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