メモ

うんちの香りスプレー「Liquid Ass」が医療用途で使用されるようになった理由

By kipkay

「3日間シャワーを浴びなかった配管業者の尻の穴を嗅ぐのと同じような臭さだ」と語られるほどのとてつもない悪臭を体験できるという、うんちの香りを忠実に再現したスプレー「Liquid Ass」は当初、ジョークグッズとして開発・販売されていました。しかし、Liquid Assはいつの間にか医療用途でも使用されるようになったとのこと。なぜ、Liquid Assが医療用途で使用されるようになったのか、海外メディアのQuartzがその経緯に迫っています。

A foul-smelling prank product called Liquid Ass is used for medical training and psychological research — Quartz
https://qz.com/1321817/an-unusual-medical-training-tool-got-its-start-as-a-childish-prank/

Liquid Assの開発者であり、その販売元のLiquid Assets Novelties LLCのCEOであるアレン・ウィットマン氏は、高校時代にイタズラで使用することを目的にしてLiquid Assを発明し、バスケットボールの試合が行われていた会場のトイレの暖房器具に約110グラムの量を散布しました。すると、Liquid Assの悪臭がバスケットボールの試合会場にも漂うこととなり、真冬で雪が降っていたにもかかわらず、ハーフタイム中は体育館のドアが開けられていたそうです。


それから数十年後、とある運送会社に就職したウィットマン氏は、同じくイタズラ好きのアンドリュー・マスターズ氏と出会い、意気投合します。その後、彼らは会社の親睦会の場でLiquid Assをまき散らす計画を立て、実行に移しました。計画はうまくいきましたが、親睦会を台無しにされたことで運送会社から怒りを買ってしまった2人は、会社を解雇されることになりました。

その後、ウィットマン氏とマスターズ氏は「Liquid Assで商売ができるのではないか?」と考えるようになり、Liquid Assets Novelties LLCを設立。ターゲット顧客を「イタズラ好きで騒ぎを起こしたい人」と設定して、Liquid Assの販売を開始しました。Liquid Assはウィットマン氏らの狙い通り、イタズラ好きな人たちから好評価を得て売上を伸ばすことに成功します。しかし、ウィットマン氏らを驚かせたのは、イタズラとは全く関係のない人たちからの注文も多かったことでした。


イタズラ目的以外でLiquid Assを注文していたのは、若い医療従事者を教育する立場にある研究者や病院の医師、教育プログラム担当者でした。Liquid Assは人間の腸内のニオイをリアルに再現していたことから、医師として働く際に肛門の診察や腸の手術などで悪臭にさらされることになる若い医療従事者が、リアルな手術をシミュレーションするための香り付けスプレーとして使用されたのです。

若い医療従事者は診察や手術の練習用途として、医療用マネキンや医療現場をシミュレーションするシミュレーション・ラボを使用しています。当然、これらを使用することで効果的な手術などの練習ができるのですが、人体から発生するニオイを再現することができないという問題がありました。中部アメリカ ナザリーン大学で看護学の助教を務めるケイト・コンデ氏は「私は30年間看護師として働いていましたが、腸のニオイを正確に再現した製品はLiquid Assだけで、学生の教育用としてシミュレーション・ラボで使用するには最適であると判断しました」と語り、Liquid Assが実際の腸手術や肛門の診察などをシミュレーションするのに適したスプレーであるとしています。

By Milwaukee VA Medical Center

コンデ氏は「Liquid Assを散布すると、学生たちの多くがあからさまに嫌な顔をします。しかし、現実のシナリオを考えてみてください。患者の出した汚物や肛門のニオイなどで医者や看護師から嫌な顔をされると、患者は苦痛を感じてしまいます」と述べており、患者に苦痛を与えないために、医療従事者は悪臭の耐性を付ける必要があると説明しています。

コンデ氏は最初からLiquid Assを知っていたわけではなく、カンファレンスに参加したときに別の大学で医療従事者向けの教育を行っている担当者から教えてもらったことをきっかけに使用するようになったと述べており、中部アメリカ ナザリーン大学だけに限らず、他の医療の教育現場でも確実に普及していることが伺えます。また、Liquid Assは軍事訓練事業にも進出しており、戦闘中に負傷した兵士を手術する訓練の場でも利用されています。


ウィットマン氏は「イタズラ目的でうんちのニオイを再現したものが医療用途で活躍するとは思いもしなかった」と述べており、ただのジョークグッズが予想もしなかった需要を生み出したことに驚きを感じているようでした。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
うんちを公共の場にわざと残す「シリアルプーパー」の心理とは? - GIGAZINE

人は一生でどのくらいのうんちをするのか?をイラストで解説するとこうなる - GIGAZINE

健康な人のうんちに含まれるバクテリアを移植することで認知機能が改善される - GIGAZINE

「うんち」の中のバクテリアが体脂肪と関係していることが明らかに - GIGAZINE

生命力が非常に強い生き物「クマムシ」のうんちはめちゃくちゃデカい - GIGAZINE

in メモ, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.