なぜ女性の友情はこんなにも複雑なのか?
女性は相手との対立を避ける傾向があるため、友情が複雑になりがちだと語るのは、社会言語学教授のデボラ・タネン氏。女性の友情が複雑化するのには複数の理由があり、「突然、何の説明もなく友情が終わることも少なくない」とのことで、その仕組みについてタネン教授が説明しています。
Why Women’s Friendships Are So Complicated - The Atlantic
https://www.theatlantic.com/family/archive/2018/06/womens-friendships-are-complicated/563945/
タネン教授が小学生の時、それまで一緒にランチを食べ、図書館に行き、放課後に遊んでいた友人の1人であるスーザンが突然話しかけてこなくなったとのこと。その後、半世紀が過ぎるまで、2人が会話することはなかったそうです。
by Charlein Gracia
この逸話はタネン教授が新刊「You're the Only One I Can Tell: Inside the Language of Women's Friendships(あなたは私が話す唯一の人/女性の友情における言語の内側)」という本を下敷きにしてイベントで語った内容。その後の研究でタネン教授は「女性は男性に比べて友人と別れた理由について説明しない」ということを明らかにしており、このような事態は女性にとって珍しくないとしています。
女性は対立を避け、相手に「弁明」の機会を与えない傾向があるとのことです。また、女性の友情は男性よりも「感情的な親密さ」が大きいゆえに、より複雑になると述べています。そして「相手について知っていること」が重要な要素の1つである女性の友情において、「別れの理由を知らせないこと」は相手をひどく傷つけることになります。
一般的に「男性は女性よりも競争的」と言われますが、タネン教授は女性の競争性は男性よりも分かりづらいだけであり、「女性は人間関係について競争的」だと主張。女性にとって重要なのは目に見える優劣よりも「友人の生活の詳細について内通していること」だとのことです。
このことから、女性はうわさ話を好む傾向がありますが、これは誰かが助けを必要とする事態に遭遇した場合に援助を行うための情報ソースになりえます。例えば、ある女性がルームメイトとの意見の不一致からルームシェアを解消すべきかを迷って誰かに意見を求め、相談を持ちかけた相手が男性だった場合、その男性はただちに女性に対するアドバイスを考え、女性を「感情的になぐさめる」という方法を取らないかもしれません。しかし、相談相手が女性であった場合は、男性よりもより多くの事情を聞き出し、何かアドバイスをする前に「問題によってあなたはどういう気持ちになったのか」ということを尋ねる傾向があるとのこと。
by Noah Buscher
タネン教授がインタビューを行ったなかで、ある被験者は「友人の死で最も辛いことは、彼女の死がどれほどつらいのかを、彼女に言えないことです」と語っていたとのこと。これは、女性の友情において情報をシェアすることがどれほど重要であるかを物語っています。
研究のためということもあり、最終的にタネン教授はイラクからの移民だったスーザンの居場所を、移民記録を扱うことができる友人の助けを借りて割り出し、2人は再会を果たしました。その結果、スーザンはタネン教授に対して怒っていたのではなく、家族から「付き合いをやめるように」とプレッシャーを受けていたことがわかったとのこと。スーザンの家族は保守的であり、付き合いを続けた罰として卒業後に結婚を強いられることを恐れたスーザンは、大学に行くためにタネン教授との付き合いを断ったと語っています。
再会を果たした2人は、小学校の時のように友情を復活させたとのことです。
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