地球における「1日の長さ」は少しずつ長くなっている
by Wil Stewart
1日の長さは24時間と定義されていますが、実際には太陽に対する地球の自転周期がいわゆる「1日の長さ」にあたり、その長さは少しずつ変化しています。1日の長さが変化するのは「月が地球から遠ざかっていること」が原因で、これにより地球の自転周期は少しずつ遅くなり、地球における1日の長さは月日の経過と共に徐々に長くなってきています。地球と月の距離は14億年前と比べると4万5000kmも遠くなっており、1日の長さは1年あたり7万5000分の1秒ずつ長くなっているそうです。
The days are getting longer – but very, very slowly | Science | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2018/jun/04/the-days-are-getting-longer-but-very-very-slowly
最新の試算によると、数十億年前の誕生したばかりの頃の地球における「1日の長さ」は、わずか5時間15分しかなかったそうです。さらに、天文学的理論と太古の岩石にみられる地球化学的な特徴から、14億年前の地球では1日の長さが18時間41分であったことも明らかになっています。これらの数値から、地球における1日の長さは先カンブリア時代から1年につき7万5000分の1秒ずつ増加しているということになります。
地球の自転速度が徐々に減速するにつれ、月は地球から遠ざかっています。米国科学アカデミー紀要で公表された論文によると、計算から過去14億年間で地球と月の距離は4万5000kmほど遠ざかっていることも判明しました。
by Jordan Steranka
研究に携わったウィスコンシン大学マディソン校のスティーブン・マイヤーズ氏とコロンビア大学のアルベルト・マリンフェルノ氏は、「地球と月の距離の変化」と「地球の軌道の変化」を用いてミランコビッチ・サイクルをこれまで以上の時間をかけて再構築しようとしたそうです。ミランコビッチ・サイクルは地球の極と太陽の距離が影響しているため、数万年から数百万年という長い時間スケールで起きる気候変動の主要な要因と考えられているのですが、従来のものは信頼性が低いという問題がありました。
調査では具体的に、中国北部にある14万年前の海洋堆積物と、南大西洋のウォルビスベイ近くにある5500万年前の海嶺から、気候変動に関連していると考えられる銅・アルミニウムの比率を調査し、従来ものものよりも正確なミランコビッチ・サイクルを構築しました。調査に携わったマイヤーズ氏は、「地球の歴史と太陽系を評価するための強力なツールとして使われる、ミランコビッチ・サイクルをより正確に算出するという試みに興味を持っていました。ミランコビッチ・サイクルは我々人間が地質学における歴史をナビゲートするための標識のようなものです」と、新しく算出したミランコビッチ・サイクルが今後地球および月の歴史を調査する過程で大きな役割を担うことになると説明しています。
by Richard Gatley
なお、月が永遠に地球から離れていくということはなく、将来的にはある一定の距離で安定すると考えられています。
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