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モアイ像の帽子はどうやって設置されたのか?


イースター島のモアイ像の中には「プカオ」と呼ばれる巨大な赤い石を帽子のようにかぶったものがあります。プカオは最大で12トンもの重量があり、モアイ像を作った後に頭の上にのせるのは至難の業であったと考えられていることから、イースター島の謎の1つとされてきました。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校で人類学の教授を務めるカール・リポ氏らの研究チームは、これまで謎とされていたプカオの運搬方法を解き明かすことに成功したそうです。

The colossal hats (pukao) of monumental statues on Rapa Nui (Easter Island, Chile): Analyses of pukao variability, transport, and emplacement
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S030544031830195X

The Mystery of How Easter Island Statues Got Their Colossal Hats Might Finally Be Solved
https://www.sciencealert.com/we-finally-know-how-easter-island-statues-got-colossal-headwear-moai-pukao-hats-parbuckling

リポ氏は「イースター島の謎は多く存在していますが、大きく分けると2つに集約されます。1つはモアイ像をどのようにして移動させたのか、そして、もう1つの謎は巨大な石の帽子をどうやって置いたのかというものです」と語り、イースター島には大きく2つの謎が存在していると説明しています。


1つ目の謎については、リポ氏らの以前の研究ですでに解明されており「人々がロープを使ってモアイ像を歩かせていた」ことが明らかとなっています。実際にリポ氏らの研究で解明された「モアイ像を移動させる方法」を実践する様子は以下のムービーで確認できます。

Easter Island moai 'walked' - YouTube


2つ目の謎とされている「プカオをどのように運んだか」について、リポ氏らの研究チームは3Dモデルを使って調査を行っています。研究チームはイースター島にある50個のプカオとその材料である赤いスコリアをプカオと同じ円柱型に切り取った13個の3Dモデルを構築して、表面の傷などから、プカオがどのようにして運搬されたのか分析を行いました。

すると、当時の人々はモアイ像の頭まで続く長い斜面を作り、採石場で作られたプカオを斜面の上まで引っ張って運んでいたことが明らかになりました。


その運搬方法も非常に工夫されており、人々はロープを斜面の先端に固定して以下の画像の要領で円柱型のプカオを引っ張り上げるという方法が取られたものと推測されていました。この方法を使用すると、12トンある最大サイズのプカオを引っ張り上げる場合においても、15人以下の力で持ち上げられることがわかっており、効率的な運搬方法が採用されていたことが明らかになっています。

By Wikipedia

リポ氏がこれまでに示した2つの輸送方法により、過去にイースター島の住民がモアイやプカオの構築や輸送に膨大な人員を必要としなかったことがわかりました。この研究で示された「人々が効率的な暮らしをしていたという証拠」は、イースター島の文明が崩壊した理由の1つとされている「人口爆発の影響で天然資源が枯渇して文明が崩壊した」とする説に疑問を投げかけるものになっています。

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in メモ,   動画, Posted by darkhorse_log

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